通常は円形の赤血球が鎌形となり、酸素運搬機能が低下し、溶血性貧血や易感染性、腹痛、関節痛などを呈する遺伝性疾患。

 血色素であるヒトヘモグロビン(Hb)は、赤血球中の酸素を運搬する蛋白質で、αグロビン2分子とβ(非α)グロビン2分子から成る。鎌状赤血球症は、出生後に機能する成人型ヘモグロビン(HbA)を構成するサブユニットであるβグロビン遺伝子の6番目のグルタミン酸がバリンに置換された遺伝性疾患。この変異のホモ接合体は大部分のHbが鎌状赤血球ヘモグロビンとなり重症化するが、ヘテロ接合体では半数以上のヘモグロビンが正常なので発症しない。アフリカや地中海沿岸、中近東などに患者が多いが、日本ではほとんど見られない。

 現状、根治治療として骨髄移植、対処療法として輸血と鉄キレート療法が実施される。低分子化合物のVoxelotor(GBT440)、抗P-セレクチン抗体のcrizanlizumab(SelG1/SEG101)、βグロビン遺伝子をレンチウイルスベクターで導入する遺伝子治療BB305、胎児型ヘモグロビン(HbF)の産生を促すゲノム編集療法CTX001など複数のモダリティが開発中だ。