遺伝的素因や生活習慣などの環境的要因に基づいて、特定の疾患に罹患するリスクが高いと思われる人を選別し、発症する前に適切に治療的な介入を行い、発症を未然に防ぐ、もしくは遅らせようという概念。英語ではpreemptive medicine。

 従来の予防医学が集団を対象にしていたのに対して、先制医療はより個々人にフォーカスし、ゲノムやトランスクリプトーム、プロテオーム、メタボロームの解析情報、もしくはイメージング画像など各種バイオマーカーを用いて精密に予測・診断した上で、早期介入により発症の遅延や防止をするものと捉えられている。精密医療(precision medicine)の予防版という捉え方もある。

 2011年3月に科学技術振興機構研究開発戦略センターが「超高齢社会における先制医療の推進」とする戦略プロポーザルを公表して以来、政策などに関する議論の場で使われるようになった。同プロポーザルでは、(1)先制医療のための疾患の病因・発生病理の解明、(2)バイオマーカー候補および治療技術シーズの探索・発見、(3)バイオマーカー候補の絞り込みと治療技術シーズの臨床における有用性、安全性の評価、(4)先制医療を社会へ適切に提供するための科学的検討──の4つを課題に挙げる。