肺に1%ほどしか存在していない希少な細胞。英語名はpulmonary ionocytesだ。遺伝性疾患である嚢胞性線維症に深く関与している可能性が指摘されている。2つの研究グループがそれぞれ独自に同定し、2018年8月に、Nature誌オンライン版で成果を発表した。

 肺イオノサイトは、フォークヘッド遺伝子ファミリーに属するFoxi1遺伝子を発現し、また、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)遺伝子を高発現している。CFTR蛋白質は、全身の管腔臓器に存在するイオンチャネルだ。CFTR蛋白質の機能が低下すると、全身の分泌液や粘液の粘性が強くなり、管腔が閉塞。特に呼吸器の感染症が起きると、呼吸不全に陥る。

 Nature誌に発表された2つの研究で、マウスとヒトのCFTR蛋白質が肺イオノサイト由来であることが分かった。さらに、CFTR蛋白質が正常に機能すれば嚢胞性線維症は発症しない可能性が示唆された。嚢胞性線維症患者の肺イオノサイトのCFTR遺伝子の変異を正常化したり、変異の無いCFTR遺伝子を導入するといった遺伝子治療が開発できる可能性がある。