人間以外の生物でも脳でストレスを感じるとおなかが痛くなり、便意をもよおすことが知られている。逆に、腸に病原菌が感染すると、脳で不安感が増すとの研究報告がある。これらは自律神経系や液性因子(ホルモンやサイトカインなど)などを介して、脳と腸が密接に関連していることを示している。この双方向的な関係を脳腸相関(brain-gut interaction)と呼ぶ。

 近年注目を集めているのは、直接の神経支配に加えて、脳と腸の双方から血液中に放出されるペプチドや代謝産物、免疫因子などが関係しているというもの。脳腸相関は、食欲の制御やエネルギー恒常性に重要な役割を果たしており、脳腸相関の異常が、肥満や糖尿病、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、機能性消化管疾患、炎症性疾患、うつ、自閉症、パーキンソン病などの疾患に関係することを示すデータが蓄積されている。

 「第二の脳」とも言われる腸は独自の神経ネットワークを持っており、脳からの指令が無くても独立して活動することもできる。プロバイオティクス分野の研究者の中には、脳よりも腸の方が主役であることを強調するため、「腸脳」相関と呼ぶ人もいる。腸内のマイクロバイオーム(常在微生物群)が適正な状態に維持されていることが精神的にも良い影響を及ぼすことも広く知られてきた。