癌組織に集まり、抗腫瘍活性を有するリンパ球のこと。Tumor infiltrating lymphocytesを略してTILとも呼ばれる。

 1990年代、切除された腫瘍に浸潤するリンパ球を単離し、体外でIL2と共に腫瘍反応性T細胞を培養後に患者に輸注する腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法の研究開発が活発化。悪性黒色腫や腎細胞癌などを対象に多くの臨床試験が実施され、悪性黒色腫では一定の有効性が示唆された。ただ、十分な評価が定まっていないことや製造工程が煩雑なことなどから、一般化されるには至っていない。

 近年、抗PD1抗体など、免疫抑制シグナルを解除して、抗腫瘍活性を高める免疫チェックポイント阻害薬が有効性を示し、広範な癌種において実用化され、癌免疫に大きな注目が集まっている。それに伴い、TILを選択的に活性化させるアプローチやTILを増やすアプローチなど創薬標的としても注目されている。また、患者のTILを解析し、免疫チェックポイント阻害薬の効果を予測する技術の開発なども進められており、2018年6月には国立がん研究センターと日本ベクトン・ディッキンソンが共同研究契約を締結した。