αガラクトシルセラミド(αGalCer)は、T細胞の一種であるNKT細胞を活性化し、サイトカインの産生を誘導するスフィンゴ糖脂質。現在は、NKT細胞を活性化する標準試薬として広く使われている。1980年代、理化学研究所統合生命医科学研究センター免疫制御戦略研究グループの谷口克グループディレクターは、T細胞の中に自然免疫と獲得免疫の双方を誘導するNKT細胞を見いだした。一方で、キリンビール(当時)は、スクリーニングで海綿の一種から抗腫瘍活性を有する天然化合物、αガラクトシルセラミドを発見し、KRN7000(開発番号)として開発を進めた。その後、αGalCer(KRN7000)は、抗原提示細胞が発現するCD1dと複合体を形成し、NKT細胞を活性化することが明らかになった。

 αGalCerの特許は既に失効していることから、世界では、αGalCerの基本骨格を持った誘導体を創製し、NKT細胞を活性化させる癌治療薬の開発が進められている。2018年3月、慶應義塾大学病院は固形癌患者から単離した抗原提示細胞を、新規αGalCer誘導体で活性化させて患者に戻し、内在性のNKT細胞を活性化させる、自家細胞療法の医師主導治験を開始すると発表した。