胎盤に含まれる細胞群。胎盤には、血球系の細胞に分化する造血幹細胞や、筋肉や骨、神経、脂肪などに分化できる間葉系幹細胞(MSC)が含まれているとされる。

 胎盤は、胎児の組織と母体の組織が接着した部分にある複合組織。母親と胎児の間で細胞レベルの相互作用が起きているとされ、生理的に重要な役割を果たしている。胎盤を介して、母親側から胎児に対して栄養素や酸素を供給したり、胎児から母親側に老廃物が受け渡されたりする。

 胎盤由来幹細胞は、他の組織由来の幹細胞と比較して治療に利用しやすい可能性がある。1つ目の理由は、ヒトの胎盤やその周囲の組織は、出産後の排泄物として廃棄されるため、生体材料として使用する場合の倫理的問題が少ないことだ。2つ目の理由は、他のヒト組織由来の幹細胞と比較して細胞増殖能が高く、免疫寛容能も高いといった特性を持つことが知られているためだ。

 胎盤周囲の組織の中で、特に羊膜は免疫原性が低いため、羊膜や羊膜由来の幹細胞は、他家移植で利用する際の免疫拒絶反応が比較的起きにくいのではないかと期待されている。