インフルエンザ感染症の原因となるインフルエンザウイルスが、ヒトなど宿主生物の細胞内で、自身の遺伝情報を転写、翻訳するのに不可欠な酵素活性を阻害する薬剤。同酵素活性を阻害し、キャップ構造を持つRNA断片を作れなくすると、インフルエンザウイルスは自身が持つ遺伝子の転写が阻害され、増殖しにくくなる。

 インフルエンザウイルスは宿主の細胞が持つ翻訳系を借りて、自身の蛋白質を合成する。この翻訳系を借用するために、mRNAの5'末端にキャップ構造があることが必要だ。キャップ依存性エンドヌクレアーゼ活性はヒトの代謝系には無いため、阻害しても副作用が生じにくいと考えられる。

 細胞からの遊離、脱核、遺伝子の複製(転写とは異なる)を標的とした、既存の抗インフルエンザ薬(ノイラミニダーゼ阻害薬、M2阻害薬、RNAポリメラーゼ阻害薬)と異なる作用機序を有し、既存の抗インフルエンザ薬に耐性を獲得したウイルスにも効果が期待できる。塩野義製薬が2018年春までに承認を取得する見込みのキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬「ゾフルーザ」(バロキサビルマルボキシル)は、単回の経口投与で治療効果が確認された初めての薬剤となる。