キンギョ(金魚)の免疫グロブリンM(IgM)。gは金魚(goldfish)の頭文字。IgMは、B細胞に存在する抗体のクラスの1つで、ヒトのIgでは最も大きい分子。可変部位(Fv)と定常部位(Fc)で構成されるIgが5個つながった五量体のIgMの場合、分子量は100万程度だ。魚類では分泌されるIgはIgMのみであり、IgMは四量体だ。

 三重大学大学院生物資源学研究科の田丸浩教授らは、脊椎動物の源流に位置し、自然免疫系に加えて獲得免疫系を有する魚類を用いた抗体生産系を開発している。ゼブラフィッシュやマダイなど魚類の抗体の解析を進め、抗体生産の技術を確立し、た。マウスやウサギなどの哺乳動物において、免疫寛容により有用な抗体が作製できない抗原に対する抗体も取得できる場合があり、産業上有用だ。

 田丸教授らは次いで、キンギョについても、目の下の角膜が肥大化した水泡を持つスイホウガン(水泡眼)と呼ばれるタイプのキンギョを用いることにより、迅速に抗体を取得できる技術を開発した。水泡への抗原投与により繰り返し、迅速にgIgMを取得できる。

 さらに、免疫後の個体から調製したgIgM遺伝子から作製した単鎖(sc)Fvのファージライブラリーを用いて、抗原特異的に結合するクローンを取得した。