麻疹ウイルス(measles virus)の病原性や伝播(感染)性を欠損させるとともに、遺伝子を搭載できるよう改変した遺伝子導入ベクター。搭載した遺伝子は、細胞質でのみ転写翻訳されるため、染色体に組み込まれないなどメリットが多い。

 麻疹ウイルスは、センダイウイルスと同様、パラミクソウイルス科に属するウイルス。元九州大学生体防御医学研究所の谷憲三朗教授(現東京大学医科学研究所特任教授)、国立感染症研究所ウイルス第三部の竹田誠部長は、麻疹ウイルスベクターを用いて、iPS細胞の作製時に必要な遺伝子を導入する技術を共同開発。九州大学が特許を取得した。

 2017年10月、タカラバイオは、同特許のライセンス契約を締結。同社は現在、ベクターの最適化や大量製造法の開発を進めている。同社によれば、同麻疹ウイルスベクターは、エピソーマルベクターやセンダイウイルスベクターと異なり、特許の権利関係がクリアで、事業化がしやすい面があるという。