抗体薬物結合型ミセル(Antibody Drug Conjugated Micelle:ADCM)は、ナノキャリアが開発しているactive targeting型の薬物送達システム(DDS)。薬物を内包したミセル化ナノ粒子の表面に、複数の抗体を結合させたもの。標的細胞に特異的に発現したり、高発現する蛋白質に結合する抗体を用いることで、狙った細胞に選択的に薬物を送達できる。毒性の高い薬物を癌細胞に特異的に送達したり、分解されやすい核酸を狙った細胞に選択的に送達するのに適していると期待されている。

 ナノキャリアは現在、エーザイのチューブリン重合阻害薬であるE7974(エーザイの開発番号)を内包したADCMであるNC-6201について、固形癌を対象に非臨床試験を実施中。また、2017年10月、ナノキャリアはJCRファーマと、薬物を脳内に送達する脳内デリバリー創薬に関して共同研究契約を締結。JCRファーマが保有する血液脳関門(BBB)の通過技術である「J-Brain Cargo」と、ナノキャリアのADCM技術を組み合わせ、BBBを通過させるDDSを開発する。具体的には、脳毛細血管の内皮細胞に発現する蛋白質に結合する抗体を、ミセル化ナノ粒子の表面に複数結合させる。技術開発後は、JCRファーマ、ナノキャリアがそれぞれ自社の創薬で活用したり、製薬企業に基盤技術として導出することなどを想定している。