長期間、あるいは、何度も過剰な抗原刺激を受けることで、T細胞が機能不全、機能障害に陥ること。T細胞の老化とも呼ばれる。

 癌患者の中には、腫瘍にT細胞が浸潤しているにもかかわらず、抗腫瘍免疫が機能していないケースがあるといわれている。その原因の1つとして指摘されているのが、T細胞の疲弊だ。疲弊したT細胞のバイオマーカーとして考えられているのが、PD1やCTLA4といった免疫チェックポイント。ただし、免疫チェックポイント阻害薬でチェックポイントを解除しても、T細胞が疲弊している患者では、効果は得にくいとされている。

 近年、T細胞の疲弊を根本的に解除する手法について、幾つかのアプローチで研究が進められている。国内でも、疲弊したT細胞をiPS細胞を介して若返らせるアプローチや、抗原を記憶したメモリーT細胞から、ステムセルメモリーT細胞(T stem cell memory:Tscm)様の細胞を誘導するアプローチなどが検討されている。Tscmは抗原を記憶したまま幹細胞として存在し、下流のメモリーT細胞、エフェクターT細胞の供給源になる細胞である。