1分子が複数の抗原結合部位を持っており、複数の抗原と特異性を持つ抗体のこと。2つの抗原に結合する場合、二重特異性抗体(バイスペシフィック抗体)と呼ばれる。

 最近では特に、癌免疫分野や薬物送達(DDS)への応用が期待されている。例えば二重特異性抗体であれば、腫瘍関連抗原と、細胞傷害性T細胞(CTL)を活性化させるCD3抗体を同時に認識するようにしておく。標的の癌細胞の近くに存在しているCTLを活性化し、その細胞障害活性で癌細胞を殺傷することが期待されている。DDSの場合は、癌抗原と薬剤や放射性物質、毒素などを付加させる。

 ただし、多重特異的抗体の作製技術には課題が多い。通常の抗体の場合、2つの可変領域で1つの抗原を認識するが、多重特異的抗体になると、1つの可変領域で認識しなければならないため、抗原に結合する可変領域が不安定になりやすいことが課題として挙げられる。可変領域を安定にし、特異的に結合するように設計して製造する技術が求められる。