自然界に存在しない新しい生物が、物理的に漏洩しても環境などに悪影響を及ぼさないように、実験施設の外(環境中)では生存(拡散)できないような遺伝的性質をあらかじめ与えておく方策。

 新しい生物が拡散しないようにするためには、まずカルタヘナ法(日本では遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律)を中心とした規制により、物理学的封じ込めが行われるが、漏洩のリスクを低減するために、生物学的封じ込めの措置も併せて取られる場合がある。自然界に存在しない栄養源が生育に必須なような遺伝的性質をあらかじめ与えておく生物学的封じ込めの手法が、開発されている。

 2015年2月には、人工アミノ酸を用いた生物学的封じ込めの手法を、米Harvard Medical Schoolの研究グループと米Yale Universityの研究グループがそれぞれ、Nature誌で論文発表した。このNature誌で発表された手法では、天然に存在しない人工合成アミノ酸が無いと生存できないように工夫している。しかし、人工合成アミノ酸は高価で、対応する生物の作製の手順も複雑である。

 広島大学大学院先端物質科学研究科の廣田隆一助教らは、安価な亜リン酸を利用して、遺伝子組換え微生物を生物学的に封じ込めできる技術を開発した成果を2017年3月に発表した。近い将来に枯渇することが懸念されているリン鉱石由来のリン資源の有効活用にも役立つ。