細菌や寄生虫、真菌の感染や敗血症の重症度などを評価するマーカーとして有用だと考えられている物質。カルシウム代謝に関与するカルシトニンの前駆体で、正常状態では甲状腺で産生されてカルシトニンへと代謝される。一方で細菌感染時は、甲状腺外で産生されたのちに血中に分泌されて代謝されないため、PCTの血中濃度が上昇する。

 PCTの血中濃度は、ウイルス感染症や局所の細菌感染ではほとんど上昇せず、全身性細菌感染症でのみ特異的に上昇する。ウイルス感染時はインターフェロンγ濃度が上昇してPCTの産生が抑制されてしまうほか、局所の細菌感染では軽度の濃度上昇にとどまる。

 従来、細菌感染症の鑑別方法として主に細菌培養による検査が行われてきたが、結果が出るまでに時間がかかり、感染症に対する治療が遅れることが指摘されている。敗血症などのような全身性の細菌感染症では、抗菌薬投与の遅れが死につながるため、迅速な判断が求められる。PCTは、全身性の細菌感染症を特異的かつ迅速に鑑別できるため、有力なマーカーと考えられている。