細菌の細胞壁を構成するムコ多糖類を加水分解することにより細胞壁の強度を低下させ、細菌を破裂させる作用のある酵素。溶菌酵素ともいう。ペニシリンの発見で1945年にノーベル生理学・医学賞を受賞したAlexander Fleming氏がペニシリン発見の5年前の22年、研究の最中にリゾチームを見いだした。X線結晶構造解析で立体構造が解明された初の酵素でもある。

 ニワトリの卵(鶏卵)の卵白中にリゾチームが多く含まれ(鶏卵1個60g中にリゾチーム100mg)、食品や医薬品など向けに産業利用されている。ニワトリのリゾチームはアミノ酸残基数は129。ヒトのリゾチームは同130。涙や唾液、鼻水などに多く含まれ、外部からの細菌の侵入に対する防御に寄与している。

 日本では卵白から抽出・精製されたリゾチームの塩酸塩製剤が60年代から、気管支炎などの喀痰喀出困難を改善するなどの効能を持つ処方薬として利用され、一般用医薬品(OTC)の風邪薬などにも配合されてきた。しかし、厚生労働省の再評価部会が有用性が確認できないと見解をまとめ、2016年3月に日本新薬やエーザイなどが販売を中止したため、医薬品用途の市場は大幅に縮小した。一方、食品用途では日持ちを向上させる添加剤などとして利用されている。