導入する遺伝子が導入先の細胞のゲノムに組み込まれない非ウイルス性のベクター。自律的に複製するプラスミドであるエピソーマルベクターを用いることで、細胞のゲノムに遺伝子を挿入することなく、細胞分裂に伴って導入遺伝子が複製される。

 iPS細胞の作製の際、初期化因子の遺伝子の導入にレトロウイルスベクターを用いると、遺伝子がゲノムに組み込まれ、挿入変異が生じて癌化のリスクが大きくなる。だが、遺伝子の導入にエピソーマルベクターを用いることで、導入する遺伝子が細胞のゲノムに組み込まれないため、癌化のリスクを抑えられるようになる。

 京都大学iPS細胞研究所(CiRA)や富士フイルムの子会社である米Cellular Dynamics International(CDI)社が、エピソーマルベクターを用いてiPS細胞を作製する方法について、日本で特許を取得している。細胞のDNAを傷つけずにiPS細胞を作製するには、エピソーマルベクターを使用する以外に、アイロムグループの子会社であるIDファーマ(旧ディナベック)が提供するセンダイウイルスベクターを活用するなどの方法もある。