遺伝子操作と光学的手法を組み合わせて生命機能を解析する学問。光に応答する蛋白質を遺伝子操作技術で生物や細胞に導入することにより、光照射で生命機能の変化を調べる。Nature Method誌が科学全分野の中から選ぶ“Method of the Year 2010”に選定されており、ノーベル化学賞の対象として有力とみられている。

 まずは神経科学の分野で光遺伝学の有用性が示された。特定の脳細胞が担う機能を調べるために、ウイルスベクターなどを使って脳細胞に光応答性蛋白質を発現させ、マウスの頭蓋に埋め込んだLED光源の光で、脳機能のON/OFFを行うという実験手法が広まった。米Stanford UniversityのKarl Deisseroth教授が05年にNature Neuroscience誌にて発表した論文が、光遺伝学の決定版とされている。哺乳類の神経細胞に光応答性チャネルChR-2を発現させ、光に正確に応答させられることを実証した論文だ。次いで07年には、生きて動いている動物の行動を、光で操作できることを発表した。

 光応答蛋白質を特定の神経細胞に発現させて神経活動を人工的に操作し、神経回路の動作原理や行動レベルでの機能を解明する研究手法として発達した。光によって時空間的に標的細胞を制御できるため、転写制御分野にも発展し、対象とする分野は脳神経系の他のライフサイエンス分野でも爆発的に広がっている。