感染力、感染した場合の重篤性を考慮して危険性が極めて高いと考えられる感染症の病原体を扱うために建設された施設。BSLはBio Safety Levelの略。

 扱う微生物は世界保健機関(WHO)のマニュアルにおいて“リスクグループ4”に分類されたエボラウイルス、ラッサウイルス、マールブルグウイルスなど。施設は高度に密閉されており、安全キャビネット内の空気や実験室内の空気は二重以上のHEPA(高密度)フィルターによって微細な粒子まで取り除いた後に外部に放出される。実験者は実験用のスーツ(陽圧防護服)を着用し、空気もスーツ内に外部から供給されるため、実験室内の空気と完全に遮断される。

 現在、世界で41施設が稼働しており、アジアではインドと台湾に各2カ所、シンガポールに1カ所あり、中国が武漢に建設中。各国はWHOのマニュアルを参考に法律や基準を整備している。日本では病原体管理を目的とした「感染症法」(厚生労働省所管)の病原体管理規制や組換え遺伝子の拡散防止を目的とした「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(文部科学省所管)に一部、設置に関する規制があり、それらの基準を満たす必要がある。

 日本国内には国立感染症研究所(東京都武蔵村山市)に感染症の診断を目的としたBSL4施設があり、不活化されたウイルス遺伝子を利用したウイルス性出血熱の診断法を開発しているが、生きたウイルスは扱わない。また茨城県つくば市の理化学研究所にも遺伝子組換え実験を主目的としたBSL4施設が建設されたが、現在は稼働していない。長崎大学が申請している施設が承認されれば、本格的に稼働する国内で最初のBSL4施設になる可能性が高い。