(編集部注)この記事は、国際アグリバイオ事業団(ISAAA)によるアグリバイオ最新情報【2015年11月】の日本語訳を掲載したものです。

世界

新刊書:GM作物に関する20年の経験

 GM作物の急速な普及にもかかわらず、その使用についてはいまだに論争がある。一般大衆の反対と過剰規制は、現代の植物科学のさらなる発展に対する真の脅威となっている。GM作物が人間の健康に悪く、環境を破壊し、発展途上国の小規模農家に損害を与えると広く信じられているが、研究の成果では、全くの反対が真実であることが示されている。ドイツの農業経済学者のMatin Qaim教授は、世界中のこのような影響を研究している。今、この20年間の彼の経験について本を書いて、「遺伝子組換え作物と農業開発」と題する書をPalgrave Macmillan社から出版した。

 本の中で、Qaim教授は、現在および将来のGM作物の利用の影響を検討し、これらの技術は、持続可能な農業開発と食料安全保障に大きく貢献できることを示した。 「フランケンシュタイン食品」「遺伝子汚染」「終末遺伝子」とか言うような一般の人の気を惹くことばで反対をそそっていることに Qaim教授は、対抗する産業側の出方と成功例を政治・経済の視点から説明している。彼は、有益で安全であることが示された技術への継続的な反対が不要な人的被害や環境破壊を起こしていると結論づけている。しかも彼は、楽観的視点をもって、将来に向けて遺伝子組換え作物を進めるために何をすべきかも示している。

科学に関するCORNELL共同体が、飢餓を終わらせる世界対話を提案

 科学に関するCORNELL共同体は、世界の飢餓を終わらせるための世界的な対話を開始するために11月17日、ニューヨークの国連本部に集まった。共同体の25人の新たな世界的な指導者は、外交官、ジャーナリスト、科学者の混合体で、食料安全保障のための技術的なツールとなる個々に特有の経験を共有する目的で集まった。

 10カ国を代表する指導者は、Cornell大学で科学、広報、草の根からの組織立ち上げに関する12週間の集中コースを完了した。彼らは、Cornell大学植物生物学者Sarah Evanega教授が立ち上げ、Bill & Melinda Gates財団が支援する先駆的なプログラムの最初の修了者である。

 「世界中にみられる理解度のギャップをなくすには、科学のツールを使用する必要がある」とEvanega教授は、集まった100人余の人々に語った。 「私は全ての親が自分の子供に1日に3回、暖かい栄養のある食物を与え、全ての母親は、子供たちに食事を与え、学校に行かせることができるように働きたいと考えている」とも語った。

 今週それぞれの国に戻る指導者は、バイオテクノロジーや科学が飢餓を終わらせる役割を担っているとの一般国民の理解を深めるためにキャンペーンや広報戦略を進めることになる。

 個人的体験を共有した者の中で、何百万人が飢えているフィリピンのFr. Emmanuel C. Alparce氏は、 「私は、バイオテクノロジーが私の国の人々、特に農民の生活を向上させられると考えて、ここにいるのだ」言った。

 Nassib Mugwanya氏は、植物ウイルスが生活に不可欠なキャッサバに損害を与えるために母国ウガンダの農民が飢えと衰退する経済に苦しんでいるかを語った。科学者たちは、これらのウイルスに抵抗する遺伝子組換えキャッサバを作成したが、政治家が、その導入を止めている。「この答は、私たちの目の前にあるが、法的環境がこの作物を農家が利用できるようになっていない」と述べた。

原報告を以下のサイトでご覧ください。Cornell Alliance for Science website.

アフリカ

アフリカでのビタミンB6欠乏症に対処するGMキャッサバ

 Geneva大学とスイス連邦工科大学Zurich校の科学者たちは、ビタミンB6を高生産する新しい遺伝子組換えキャッサバ品種を報告した。結果は、Nature Biotechnology発表されている。

 キャッサバは、カロリーが高いが、ビタミン含有量を欠いている。ビタミンB6が少量であるためその必要量をとるには毎日1kg食べなければならない。Geneva大学Teresa Fitzpatrick教授は、ビタミンB6の生産に関与しているシロイヌナズナの二つの酵素(PDX1とPDX2)を発見し、これをキャッサバのビタミンB6を上げるために使用した。科学者たちは、ビタミンB6増加につながる酵素生産遺伝子をキャッサバに導入して、ビタミンB6生産の増加した品種を開発した。また温室及び圃場試験で新しいキャッサバ品種が安定してビタミンB6を作物中にできることを示した。

 このキャッサバ品種が一般に利用可能になるとビタミンB6欠乏を防ぐことができる。特にキャッサバで最も重要な主食作物の一つであるサハラ以南のアフリカでB6欠乏症を防ぐことができる。

詳しくは、以下のサイトをご覧ください。ETH Zurich.

Btワタのスーダンでの導入は、政治的後押しが鍵である

 スーダンへの最近の研究視察者の結論は、COMESAの国では遺伝子組換え作物の商業化受容のための鍵は、政治的後押しであるとした。2015年11月8-13日の7日間にわたる長い研究視察旅行の参加者は、スーダンでのワタ分野での進捗がスーダン政府の強い政策後押しによるものであると確認した。彼らが学んだことは、「農家が害虫抵抗性ワタ(Btワタ)を導入することが、利益の助けになることは間違いない」ということだった。参加者は、中央スーダンで、New Halfa 農業法人(NHAC) とRahad Schemesの灌漑ワタ栽培地域の農家を訪れ、スーダンワタ分野の政府関係者、科学者や他の利害関係者と会談した。

 訪問した農家によると2012年以来、スーダンでのBtワタの導入がアフリカオオタバコガによる脅威を減らすことに大きく貢献した。「スーダンでは、以前オオタバコガの被害のため50%の収穫を失っていた。現在は、全て収穫できる」とRahad灌漑スキームのワタ農家のIbrahim Ahmed氏が語った。

 研究視察旅行は、東南アフリカ貿易共同体(ACTESA / COMESA)が国立スーダンバイオセイフティ協議会、環境、林業および立地整備省の共同で行われた。これは、エジプト、エチオピア、ケニア、マラウイ、スワジランド、ザンビア、ジンバブエの規制当局、研究者やジャーナリストが参加した。

南北アメリカ

ミシガン州立大学がアジアにおいてポテトの生産改善を研究

 ミシガン州立大学(MSU)の科学者たちは、バングラデシュ、インドネシアでジャガイモの生産を増強するための研究を行うことになる。プロジェクトは、「将来の食糧供給」に関するUSAIDの役割の一環で、米国政府の世界的な飢餓と食料安全保障計画の一環である。USAIDは、プロジェクトを実施するために5800万米ドルをMSUに与えた。

 「遺伝子組換え作物は、資財投入と環境への影響を低減しながら、小規模および大規模農家の両方に恩恵をもたらす農業の生産性を向上させる可能性を秘めた技術の1つである」とMSUのポテト遺伝育種学プログラム長のDave Douches博士が述べた。

 「国際的に、ジャガイモは世界第3位食用作物である。そこで我々は新品種の開発を行い、農薬の使用を減らし、より持続可能な栽培方法を見つけ、ジャガイモの栄養価を高めるための方法を発見することを試みた」と付け加えた。

 MSUの科学者は、Minnesota 州立大学と J.R. Simplot 社と協力して、バングラデシュ、インドネシアに拠点を置く機関と一緒に研究している。研究者は、疫病に抵抗性があり、高い収量が得られる品種の開発を目指している。

米国農務省、遺伝子組換えトウモロコシMON 87411の規制を解除

 米国農務省動植物衛生検査サービス(APHIS)は、遺伝子組換えトウモロコシ品種MON 87411(グリホサート耐性および根切虫耐性)の規制を解除した。この決定は、トウモロコシが農作物、環境、または他の作物に有害ではないという評価に基づいている。MON 87411トウモロコシの種子、他の繁殖材料、および穀物の消費についてはまだAPHIS外国検疫規制の対象である。

塊茎中のベータカロチン含量を高めるための新技術を開発

 Boyce Thompson Institute (BTI) とDonald Danforth Plant Science Centerの科学者は、ビタミンAが豊富な塊茎の開発に向けて取り組んでいる。 BTIのJoyce Van Eck助教授はジャガイモで、ビタミンAの前駆体のベータカロチンを蓄積する新しい技術を開発した。Donald Danforth Plant Science Centerからの専門家の助けを借りて、この技術はバイオ技術でキャッサバの塊茎を開発するのに利用できる。

 ジャガイモはβカロチンを合成することができるが、ある酵素の働きによりベータカロチン様carotenoidであるzeaxanthinに変換されてしまう。ヒトはzeaxanthinをビタミンAに変換することができないので、この酵素を抑制する遺伝子を設計してジャガイモのゲノムに導入した。この方法で、ビタミンAの幼児の必要摂取量の18%を補える量のベータカロチンを、ジャガイモ内に蓄積できるという。

 Van Eck助教授は、現在、Danforthチームと共にキャッサバにこの技術を使うことを試みている。成功した場合、ビタミンAが豊富なキャッサバは、ビタミンA欠乏症(VAD)の子供を減らす。特に、VADが多いアフリカや南アジアでVADを減らすのに役立つ。

アジア・太平洋

インドの公共団体、組換え作物の導入で南米の団体と覚書締結

 Indian Council of Agricultural Research (ICAR)はSouth Asia Biotechnology Centre (SABC) とインドの公共部門が開発した遺伝子組換え作物の導入を促進するための覚書(MOU)に調印した。MOUは、ICAR局長でDAREの事務局長のS. Ayyappan博士とSABCの創設局長のC.D. Mayee,博士によって署名された。これは、2015年9月19日のNational Academy of Agricultural Sciences(NAAS)の執行理事会に合わせて行われた。ICARとSABCは、技術評価と展開、生物学的安全性および規制当局の承認を支援するための独立したプラットフォームを構築するとともに、国の農業研究システムを通じて開発された遺伝子組換え製品の支援活動を創生するものである。

 Ayyappan博士は、この共同作業によってインドのバイオテクノロジーが異なる省庁が関与する多層規制システムとバイオセイフティー評価を通り抜けて実験室から実用化されるに至る重要な課題である規制科学のやり方と遺伝子組換え製品のための指針に関する理解の改善に対するこれまでの努力を賞賛するとともに期待を表明した。「ICARによりバイオテクノロジー研究をよく伝え最終的に製品に仕上げることは我々の科学界の究極の鍵となる課題である。規制科学とバイオセイフティー評価研究は、規制システムを通してこれらをガイドする極めて大きな意義のあるものである。」と強調した。

 Mayee博士は、このMOUが農業界に遺伝子組換え製品を取りこむ歴史的な一里塚であると述べた。 また「私たちの努力は、国家農業システムへの技術的知恵を提供し、技術の導入、バイオセーフティおよび規制科学を提供するものであり、NARSが開発した改善した作物や遺伝子組換え製品を承認することを支援することである。」と述べた。

 農業科学アカデミー(NAAS)、ICARと科学行政官がニューデリーの国立農業科学会館で開催されたこの式典に参加した。

フィリピンバイオセーフティに関する国家委員会の25周年を祝福

 フィリピンのバイオセーフティに関する国家委員会がその創立25周年を迎えてPasig市、AstoriaのChardonnayで「フィリピンにおけるバイオセーフティの25周年をを振り返って、今後を見通す」とのテーマで祝典を行った。行事には、NCBPパートナー政府部門、科学者、学界、研究機関、メディア、民間企業から120人以上の代表が出席した。

 科学技術省(DOST)バイオセーフティ委員会委員長Jaime Montoya博士が、現代のバイオテクノロジーの製品の規制における経験を集大成し、この経験がNCBPを正しい方向に向けてきたとの講演で、この行事を開会した。DOST長官とNCBP会長であるMario G. Montejo氏は、現代バイオテクノロジーに関する規制についての25年間にわたる働きはまさに業務完遂であり、委員会がこの間に課題を克服したと明言した。DOSTバイオセーフティ委員会の法律顧問であるJose Mari A. Ochave弁護士は、NCBPの25年史を示し、委員会で活躍された方々を讃えた。彼は、また委員会の将来的へ向けた改善点とフィリピンのGM規制の改善点も述べた。

 またフィリピンのバイオセーフティの確立に尽力してきた人々を讃えた。健康、環境、天然資源、貿易、産業、国内行政、地方行政、外交行政を含む各部門の代表者が、NCBPへの更新提案に署名した。またこの間に専門家だけでなく、GMの規制、新しい植物育種技術、国としてのGMO導入の社会経済的影響に関する議論も行われた。

中国の種子法が改正、GM種子の導入は慎重に進める

 中国の種子法の改正案が、2015年10月30日に第12回全国人民代表大会の常務委員会の隔月セッションの開始時に第二読会に向けて提出された、この改正では、種子生産と貿易免許のための障壁を取り除き、中国が他の国と競争できるよう、政府が業界レベルでの革新を促進したいとの期待をしている。

 草案には、しかし、主要穀物種子の承認システムがそのまま残っている。即ち、主要作物(コメ、トウモロコシ、コムギ、ダイズ、ワタ)の種子は、市場に導入される前に規制当局によって承認されなければならないと述べている。

 草案では、GM種子には慎重な導入法を取るとしている。即ち、GM種子の育種、試験、促進は、評価と制御が必要であり、農林業当局は、GM種子の制御を強化し、時宜を得た情報公開が必要としている。

GM作物反対の先鋒だった評論家らが科学的根拠に基づく著作を出版

 「誤解だらけの遺伝子組み換え作物」というGM作物に関する最初の科学的根拠に基づく書籍が、小島正美氏らにより出版された。小島氏は、日本の三大紙の一つである毎日新聞の活発な反GM記者だった。この本は、科学的な情報と信頼できる科学的研究か成果からのGM作物のメリットだけでなく、彼の「百聞は一見にしか。」とする米国の耕作地および実験室の視察旅行の結果を書物としたものである。小島氏は、彼の先の反GMOのスタンスについて謝罪し、GM作物についての真実を知らず、また理解せずに、間違った記事を書き、話してきたことを認めた。

 この本は、間違った情報を発信してきた日本のメディアや学界を批判し、このような方々が政治的ではなく、科学的見地に基づいて語り直すことが急務であると促している。国内外の農業生産者を含む、GM作物関係者の見解と意見が収載されており、GM作物の科学に基づく理解の重要性とGM作物の安全性試験とそれに由来する食品の安全性にも焦点を当てている。この著作は、未だに遺伝子組換え作物の受容性に問題がある日本で極めて大切なものである。

種子油の生産拡大

 日本の研究者は、種子油の生産に関与する遺伝子を、長期間働くように誘導することでより多くの油を蓄積できることに成功した。日本の国立基礎生物学研究所(NIBB:基生研)の科学者たちは、種子形成の中間段階のみに油が合成されることを明らかにした。

 研究チームは、種子油合成期間を延長することにより、種子中の油含有量を増加させることができると考えました。シロイヌナズナを用いて、WRI1(オイル合成を活性化する遺伝子)の発現時間を延長した。その結果、種子の油含有量を140%に増加させることができた。

フィリピンバイオテクノロジー週間で広報の役割に焦点
 SM Dasmarinas,、Caviteで2015年11月23日から28日にフィリピンバイオテクノロジー週間(NBW 2015)のお祝いを行い、「バイオテクノロジー:国家発展の人々のためのパートナー」のテーマの下で行事が行われた。NBW 2015は、科学技術省(DOST)が先頭に立って実施いている。

 DOST長官Mario Montejo工学士の基調談話を農業・水産・自然資源研究開発フィリピン評議会の専務理事Reynaldo Ebora博士が代読した。Mario Montejo DOST長官によると、バイオテクノロジーは、未だに国内論争があるので、このような公共との関与を通じて問題や影響について意見交換のための窓口を空けておく必要がある。としている。国立科学技術会議会長William Padolina博士は、基調講演の中で、国際競争力を達成するためには農業は知識集約型にならねばならないと強調した。彼は、遺伝子組換え製品の導入決定は、政府の決断によるもので、その決定の遅れは、この国の貧困とそれによる苦しみを起こし、革新と発展に影響を与えると述べた。

 1週間にわたる祝典は、様々な政府機関や団体が主催する行事から成り立っている。とりわけ健康フォーラム、遺伝子組換え作物セミナー、遺伝子組換え書籍展、遺伝子組換えジャーナリズム賞、教師によるカンファレンス、キャリア斡旋、フォトコンテストなどなどがある。

ヨーロッパ

EU議会は、国別GMO禁止提案を拒否

 EU議会は、任意のEU加盟国が自国内で、EUが承認したGM製品の販売や使用を禁止または制限することができるとのEU法草案を拒否した。EUメンバーは、法律が承認された場合、それはGMO賛成と反対国間での国境でのチェックの再導入につながることを懸念している。この問題について新たな提案を起草するように委員会に要請した。

 「私は、この提案がGMOからの蛋白質の供給に大きく依存しているEUの農業に負の結果をもたらす可能性があると考えている。輸入に間接的な負の影響を与える可能性もある。最後に、EUには国境でのチェックが存在しないにも拘わらず、この提案が開始されると問題を生ずる」とGiovanni La Via (EPP, IT)氏が述べ、同氏の勧告提案は、賛成577、反対75、棄権38で承認された。

John Innes Centre (JIC)の科学者は、植物化学物質の多いトマトを開発
John Innes Centre (JIC)の科学者たちは、トマトの天然化合物の量を高めるための技術を発見した。化合物は、Resveratrol や Genistein のようなphenylpropanoids分類される。Resveratrolは、動物研究で寿命を延長することが見出されたワイン中の化合物である。一方、Genisteinは、ダイズ中に存在し、乳癌などのステロイドホルモン関連癌の予防に関連している。
研究者は、植物の天然化合物の生成をもたらす代謝経路に関与するいくつかの遺伝子を活性化するシロイヌナズナのタンパク質AtMYB12に焦点を当てた。豆類でGenisteinをブドウでResveratrolを作る特定の酵素をコードする遺伝子とAtMYB12の両方を導入し、トマトが乾燥重量のグラム当たり80mg生産するトマトを開発した。
また、1個のトマトが赤ワインのボトル50と同じResveratrolを生産した。また豆腐の2.5kgに相当するGenisteinを生産するトマトも開発した。
研究の詳細は、以下のサイトをご覧ください。JIC

EUの食品安全機関、グリホサートが癌を起こす可能性はないと結論

 EU食品安全機関(EFSA)の科学者とEU加盟国のリスク評価機関の代表者で構成されるピアレビュー専門家グループは、米Monsanto社が開発した除草剤グリホサート(商品名はRoundup他)の再評価を最終確定した。報告書は、グリホサートに遺伝毒性(DNAに損傷を与える)の可能性はなく、ヒトに対する発癌のリスクもないとして、食品中のグリホサートの残留物の制御を強化する新たな安全対策を提案する結論した。

 専門家グループは、グリホサートの急性参照用量(ARfD)を体重1kg当たり0.5mgと設定した。この化合物に対するこのような暴露閾値の設定は初めてのことである。EU規制の下での化学物質の分類、表示、包装では発癌剤とは分類されない。一人以外の全ての加盟国の専門家が、疫学データや動物実験からの証拠からヒトの癌の発症との因果関係はないとの結論に合意した。

 専門家レビユーは、毒性学的安全性の閾値を提案した。許容可能な暴露レベル(AOEL)は、1日当たり0.1 mg/kg体重とし、一日摂取許容量(ADI)は、ARfDに沿って一日当たり0.5 mg/kg体重と設定した。EFSAの農薬部会を率いるJose Tarazona氏は、「急性参照用量を導入することにより、我々はさらにグリホサートの潜在的なリスクを将来的に評価する。この物質の発癌性はほとんどない」と述べた。

作物バイオテクノロジー以外のこと

米国FDA:遺伝子組換え(GE)サケは、非GEサケと同様に安全

 米国食品医薬品局(US-FDA)は非GE大西洋サケよりも早く市場に出せる大きさになる遺伝子組換え(GE)大西洋サケ「AquaBounty TechnologiesによるAquAdvantageサケ」を承認した。FDAは、AquAdvantageサケを使った食品は、他の非GE大西洋サケと同じく食べても安全であり、栄養価も同じと決定した。つまり、AquAdvantageサケは、他の養殖大西洋サケに比べて栄養価においても生物学的にも何ら差がないという判断だ。

 声明で、FDAの獣医学センターBernadette Dunham長は、FDAが行った徹底的な分析・評価とAquAdvantageサケに関するAquaBounty社からの資料を検討して、承認のための規制要件を満たしており、この魚を食することの安全であると判断した」と述べた。

文献備忘録

ISAAAインフォグラフィック「遺伝子組換え作物がどこで栽培されているか知っていますか?
 ISAAAは、新しいインフォグラフィック「遺伝子組換え作物がどこで栽培されているか知っていますか?」を発行した。インフォグラフィックは、「ISAAA概要49:世界の遺伝子組み換え作物商業栽培の動向:2014」に基づいて、2014年に28の商業栽培国を示したものである。

これは、以下のサイトから無料でダウンロードできる。 http://www.isaaa.org/resources/publications/briefs/49/infographic/default.asp

新ポケットK「遺伝子組換え作物と非遺伝子組換え作物の共存」

 ISAAAは、「ポケットKシリーズNo.51:遺伝子組換え作物と非遺伝子組換え作物の共存」を出版した。最新のポケットKは、適切な指針、例えば開花時期や緩衝地帯の設置などを行うことで一続きの場所で遺伝子組換え作物と非遺伝子組換え作物を同時に栽培することが可能であるとの事例研究を示した。米国やEUにおける共存指針の開発研究の経験も議論されている。

この出版物は、以下のサイトから無料でダウンロードできる。 http://www.isaaa.org/resources/publications/pocketk/51/default.asp.