同志社大学大学院生命医科学研究科 西川恵三教授らの研究グループは、生体深部の観察が可能な2光子励起顕微鏡を用いて生きた動物個体の骨の内部を観察することで、“破骨細胞”と“酸素”を同時に解析する技術を開発しました。その結果、骨組織内の酸素濃度の情報を1細胞レベルで取得することに成功しました。これにより、従来研究で曖昧にされていた低酸素状態がどのような酸素濃度であるかを定義することを可能にしました。この新しく定義された低酸素状態が骨組織に及ぼす影響を検討したところ、低酸素が破骨細胞形成を阻害し、骨量を増加することが分かりました。さらに、この生理的な酸素濃度域で破骨細胞が低酸素を感知する分子メカニズムを解析したところ、従来より重要である考えられていた低酸素誘導因子HIFがかかわる制御システムは重要ではなく、メチル化DNAの酸化反応を担う酵素Tetがセンサー分子として機能することが分かりました。これにより、骨には他の組織と異なるユニークな方法で酸素に対して応答する機構があることが明らかとなりました。本研究による生体内の量の情報にもとづいて生命現象を理解する新たな試みが、生体恒常性の乱れや疾患発症を予測する新たな医療技術に役立てられることが期待されます。

プレスリリースはこちら