蚊は吸血によって人に不快なかゆみを生じさせるだけでなく、時には病気を媒介することもあります。近年の温暖化により日本でも熱帯性の蚊が媒介する病気の発症例が報道されるようになってきました。今回、自然科学研究機構 生理学研究所のTianbang Li研究員、齋藤 茂助教および富永真琴教授は、大日本除虫菊(株)の協力により、高温域を感じるセンサー分子として働くタンパク質であるTRPA1の特性を、類縁関係の異なる4種の蚊の間で比べました。その結果、生息地の温度環境の違いにより、TRPA1が活性化する温度が異なることを発見しました。実際に、行動実験により、熱帯に生息する種と温帯に生息する種では、忌避する温度が異なることも明らかになりました。生息地の温度環境に応じてTRPA1の特性が変化し、蚊が嫌う温度が変化したと考えられます。またTRPA1は、刺激として認識される化学物質のセンサーとしても働いています。防虫剤として使われるシトロネラ油を異なる種の蚊のTRPA1に作用させたところ、その感受性が種の間で違うことも明らかにしました。更に、TRPA1を活性化する新たな化学物質も特定しました。このような情報は、蚊の効果的な防除対策などに将来的に役立つと期待されます。

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