交通外傷や刺傷などにより末梢神経が切断されると,切断端から神経軸索は徐々に再生・伸長し,元の標的細胞を再支配して手や足が再び動くようになります。しかし,頭部外傷や脳血管障害により中枢神経が断裂すると,障害部位を超えた軸索再生が起こることはほとんどありません。この壁を破ることが,現在の再生医学の大きな課題となっています。例外的に,小脳の平行線維は切断されても速やかに再生し,効率的にプルキンエ細胞を再支配することが古くから知られていましたが,その理由は不明でした。渡辺教授らは,この平行線維・プルキンエ細胞シナプス回路の高い再生能力が,このシナプスに選択的に発現しているグルタミン酸受容体 GluD2の働きによるものであることを突き止めました。この分子が発達期のシナプス形成と形成後の維持にも関わっていることを考え合わせると,GluD2 はこのシナプス回路の発生から再生までの全ての過程を制御している重要な分子であることが判明しました。

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