セルロースは植物組織の構成成分の三分の一を占め、地球上に最も多く存在する有機再生可能資源で、しかも化石資源に依存せずに入手が可能です。このため、19世紀半ばに木材パルプを主原料とするレーヨンが発明されて以来、さまざまなセルロースの成形手法が開発され、人類は再生繊維などセルロース由来の製品を多く利用してきました。しかしながら、セルロースは、分子間の強固な水素結合のため溶解させるのが難しく、セルロースを多様な形態に成形するには、二硫化炭素等の環境負荷の高い溶媒を用いる、もしくは誘導体化による溶解性の付与が必要でした。2002年にSwatloskiらによってセルロースが環境負荷の低いイオン性液体に溶解できることが報告されて以来、セルロースを溶解できるさまざまなイオン性液体が開発されました。その中でも、東京農工大学の大野 弘幸 教授らが開発したN-ethyl-N'-methylimidazolium methylphosphonate([C2mim][(MeO)(H)PO2])は、低い温度で比較的高い濃度のセルロースを溶解することができます。本研究では、市販のイオン性液体[C2mim][(MeO)(H)PO2]を用いました。

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