(画像:123RF)
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 AI創薬とは、人工知能(AI)を使った創薬研究のこと。一般的には深層学習(Deep Learning)を含めた機械学習を創薬研究に利用することを指す。機械学習は、コンピューターが大量のデータを学習し、学習したデータに基づいて予測や分類などを遂行するためのアルゴリズムを構築する技術で、人間が記憶しきれない膨大な量のデータを記憶・処理したり、思い込みや偏見の無い判断を下したりできる。創薬研究に導入することで、時間や費用を削減し、創薬研究の工程を効率化できると期待されている。

 AI創薬に関連した事業を手掛ける国内のスタートアップの1社が、Elix(東京・千代田、結城伸哉代表取締役)だ。同社の結城代表取締役は、山形大学大学院でスーパーコンピュータを利用したシミュレーションによる宇宙物理の研究に従事した後に、ディー・エヌ・エーにエンジニアとして入社。シンガポールのLCO-Creation社でシニアエンジニアとして外国人エンジニアチームをリードした後、2016年11月にElixを設立した経歴を持つ。

 Elixは深層学習を用いて、化合物の活性・構造・合成経路などを予測するためのAIアルゴリズムの開発を手掛けている。これまでに複数の製薬会社のAI創薬をサポートしており、2020年7月にはアステラス製薬と共同研究を開始した。同社が開発するAIアルゴリズムに対してアステラスが技術検証を行い、データを追加学習させるなどして、より実用的なアルゴリズムを構築する。

 SyntheticGestalt(東京・新宿、島田幸輝CEO)は、AIによって新しい候補化合物を創出することに焦点を当てたスタートアップだ。島田CEOは、サイバーセキュリティー関連の事業を手掛けた後、University College Londonの博士課程に留学した。2018年9月に留学先のロンドンで英SyntheticGestalt社を立ち上げ、同年12月にその100%子会社として日本法人を設立した。

 SyntheticGestaltは候補化合物を見いだすために、合成可能な40億個程度の化合物に関して、in silicoのライブラリーを作成している。この中から、独自のアルゴリズムで28のパラメーターに基づき標的蛋白質にヒットする化合物を予測する。28のパラメーターとは、50%阻害濃度(IC50)や脂溶性・水溶性、安定性などだ。同社は塩野義製薬と2020年6月に契約し、COVID-19の治療薬の候補の探索を行った。

バイオスタートアップ総覧 2021-2022
AI創薬関連の研究開発を手掛ける企業の掲載ページは以下の通りです。
カルディオインテリジェンス(p.146)、サイトリミック(p.187)、ソシウム(p.250)、ネクスジェン(p.309)、レナサイエンス(p.465)、aiwell(p.480)、Elix(p.523)、MOLCURE(p.601)、SyntheticGestalt(p.659)、アヘッド・バイオコンピューティング(p.702)、インタープロテイン(p.714)、エピストラ(p.717)、ジーントライ(748)、ナレッジパレット(p.779)、ワールドフュージョン(p.838)など
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