(画像:123RF)
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 iPS創薬は、患者由来の細胞から樹立したiPS細胞を疾患に関連する細胞に分化させて、病態の理解や治療薬候補をスクリーニングするための手法のこと。利点としては、患者の遺伝的背景を踏まえることができる、動物の病態モデルを作製するのが困難な場合でもスクリーニングができるといった点が挙がる。京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の戸口田淳也教授らのグループが、進行性骨化性線維異形成症(FOP)という希少疾患に対して、iPS創薬で既存薬の中からシロリムスを有望薬として特定したことで知られる。

 iPS創薬の研究を進める国内の未上場バイオスタートアップの1社が、オトリンク(東京・港、小川郁代表取締役)だ。オトリンクは、難聴・耳鳴(じめい)など聴覚障害の効果的な治療法の開発・普及を目的として2019年5月に立ち上げられた慶應義塾大学医学部発のスタートアップだ。同大学医学部耳鼻咽喉科学教室の小川郁教授が代表取締役社長を務める。

 オトリンクは、iPS創薬で難聴に対する治療薬の開発を支援する事業を手掛けている。ヒトiPS細胞から高純度かつ高効率に多量の内耳幹細胞を誘導する方法を「Otolink スクリーニングラボ」として難聴治療薬の探索のためのプラットホームとして公開し、製薬企業などと提携してiPS創薬に取り組む。

 もう1社の注目スタートアップが、ケイファーマ(東京・港、福島弘明社長)だ。同社が目指すのはiPS細胞を利用した神経系疾患に対する治療法の実用化や、神経疾患の患者由来iPS細胞を用いた治療薬候補のスクリーニングだ。慶應義塾大学医学部生理学教室の岡野栄之教授、元エーザイ研究者の福島弘明特任准教授(現社長)、整形外科学教室の中村雅也教授によって2016年11月に設立された。

 ケイファーマはパーキンソン病治療薬のロピニロールを、筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬にリポジショニングする研究開発を進めている。ロピニロールはiPS細胞を用いた治療薬候補のスクリーニングによって見いだされ、既に第1/2a相医師主導治験で安全性と薬効が示されている。ALSは難病で効果的な薬剤が無いため、同社は早期承認制度を活用する形で2021年内に承認申請を目指したい考えだ。

バイオスタートアップ総覧 2021-2022
iPS創薬関連の研究開発を手掛ける企業の掲載ページは以下の通りです。
オトリンク(p.125)、ケイファーマ(p.171)、リジェネフロ(p.439)、リンドファーマ(p.450)、マイキャン・テクノロジーズ(p.811)など
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