(画像:123RF)
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 核酸標的薬は、核酸に直接作用する低分子薬を指す。細胞内で多様な構造を取る一本鎖のメッセンジャーRNA(mRNA)は、核酸標的薬の有望な標的と考えられており、標的mRNAに作用し、翻訳を阻害したり、スプライシングを制御したり、発現を増やしたりする低分子薬の開発が世界的に活発化している。核酸を標的にすることで、蛋白質では狙いにくかった分子を標的にすることが可能になる。それに加えて、化学合成でき、細胞内に送達しやすく、投与しやすいといった低分子化合物の強みも活かせることから、低分子薬の新たなモダリティとして近年注目されている。

 ここ数年の間に、欧米諸国で核酸標的薬のスタートアップが多数設立され、大手製薬企業との提携も増加している。最も知られているものは米PTC Therapeutics社がスイスRoche社へ導出した「Evrysdi/エブリスディ」(リスジプラム)で、これはmRNAのスプライシングを制御する。2020年に米国で脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療薬として承認され、新規モダリティとしての現実味が一気に増した。国内でも、独自の基盤技術を武器に、核酸標的薬の開発に参入するスタートアップがじわじわと増えている。

 Veritas In Silico(東京・品川、中村慎吾社長)は、核酸医薬事業と並び、mRNAに作用する低分子創薬事業にも力を入れているスタートアップだ。同社は、創薬シーズを創出するための包括的な技術「ibVIS」を活用し、低分子創薬事業を進めている。既に日産化学や帝人ファーマ、旭化成ファーマ、東レなどと共同で、創薬研究を実施中だ。また、同社自身も化合物ライブラリーを導入し、自社プロジェクトとして新規シーズの研究開発を行っている。

 リボルナバイオサイエンス(神奈川県藤沢市、富士晃嗣代表取締役)は、武田薬品工業のアントレプレナーシップベンチャープログラム(EVP)を通じて立ち上がったスタートアップだ。pre-mRNAからmRNAが生成されてから蛋白質へ翻訳、機能するまでの各段階に応じたフェノタイプによるスクリーニング系を基盤技術とし、mRNAを標的とした低分子薬の研究開発を手掛けている。同社は2021年4月、開発中の中枢神経疾患領域の開発品について、米Biogen社と共同研究開発契約とオプション付ライセンス契約を締結した。その他にも、幾つかの国内の製薬企業と共同研究契約を締結して共同研究開発を進めている他、自社で標的を選定し、低分子化合物をスクリーニング・開発する自社研究開発も進めている。

バイオスタートアップ総覧 2021-2022
核酸標的薬関連の研究開発を手掛ける企業の掲載ページは以下の通りです。
Veritas In Silico(p.683)、リボルナバイオサイエンス(p.831)、Triplex Therapeutics(p.886)など
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