(画像:123RF)
(画像:123RF)

 アンチセンス医薬は、化学合成されたヌクレオチドを基本骨格とし、核酸や蛋白質に作用して、遺伝子発現を介さずに効果を発揮する核酸医薬の1つ。pre-mRNAやmRNA、マイクロRNA(miRNA)に結合して、RNAやmiRNAの機能を阻害・分解したり、スプライシングを制御したりする作用機序を有する。アンチセンス医薬を含め、核酸医薬の利点は、低分子薬や抗体医薬など既存のモダリティでは狙えない標的を狙うことができる点だ。

 世界で初めて承認されたアンチセンス医薬は、米Ionis Pharmaceuticals社とスイスNovartis社が開発した「Vitravene」(Fomivirsen)で、1998年に米国でエイズ患者のサイトメガロウイルス(CMV)性網膜炎を対象に承認された(現在は販売中止)。その後、生体内での分解耐性が向上したことや、薬物送達システム(DDS)が開発されたこと、毒性のリスクを低減する技術・知見が蓄積したことなどで、全身投与が可能なアンチセンス医薬が増えてきた。

 国内でも、複数のスタートアップが開発に参入している。リードファーマ(大阪市淀川区、和田郁人社長)は、国立循環器病研究センター研究所病態代謝部の斯波真理子部長らの研究成果などを実用化するために設立された、国立循環器病研究センター発のスタートアップだ。同社の強みは、(1)国内アカデミア発の新規の人工修飾核酸(2)独自の核酸合成方法や精製技術(3)核酸医薬の生体内活性を予測する細胞評価法やスクリーニング法(4)肝臓などへ特異的な送達を可能にする薬物送達システム(DDS)(5)アカデミアの研究から見出された核酸医薬向きの標的──といった、核酸医薬を生み出すために必要な要素技術だ。現在は、難病指定されている原発性高カイロミクロン血症に対する核酸医薬(LID-001)などの開発を手掛けている。

 ルクサナバイオテク(大阪府吹田市、佐藤秀昭社長)は、大阪大学大学院薬学研究科の小比賀聡教授の研究成果をベースに、核酸医薬の実用化を目指すスタートアップだ。小比賀教授が開発した複数の修飾核酸に加え、肝毒性のリスク回避技術、核酸医薬の設計技術など複数の要素技術を保有しており、アンチセンス医薬の候補品を創製するための流れが一気通貫でできるようになっている。先行しているのは、愛知医科大学医学部の武内恒成教授が開発した脊髄損傷に対するアンチセンス医薬(LBX-001)の開発で、亜急性期の脊髄損傷を対象とした臨床試験を開始するべく、同社は現在、非臨床試験を実施しているところだ。

バイオスタートアップ総覧 2021-2022
アンチセンス医薬関連の研究開発を手掛ける企業の掲載ページは以下の通りです。
ウェルセラ(p.78)、遠友ファーマ(p.110)、ペリオセラピア(p.370)、ミラックスセラピューティクス(p.386)、Veritas In Silico(p.683)、ブレイゾン・セラピューティクス(p.367)、リードファーマ(p.436)、ルクサナバイオテク(p.456)、レナセラピューティクス(p.468)、GenAhead Bio(p.546)など
●上場予備軍のバイオテク企業398社を一挙収載
●あなたの知らない「次のユニコーン」がこの中に!
●競合と比べた技術的アドバンテージを独自解説
詳しくはこちらをご覧ください!