(画像:123RF)
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 ゲノム編集療法は、その名の通り、ゲノム編集によって疾患の治療を図る技術だ。第3世代のゲノム編集技術であるCRISPR/Cas9などを活用し、原因が明らかになっている単一遺伝子疾患などを対象に、原因遺伝子を破壊したり、治療用の遺伝子を導入したりするゲノム編集療法の開発が活発化している。

 ゲノム編集療法は、体外(ex vivo)でゲノム編集を行うか、体内(in vivo)でゲノム編集を行うかで分類することができる。また、ウイルスベクターを使うか、リボ核酸と蛋白質の複合体(リボヌクレオ蛋白質:RNP)を使うかなど、ゲノム編集をするに当たり、どのようにgRNAやCasを細胞へ送達するか、その方法によって分類することも可能だ。

 現時点で承認されているゲノム編集療法はないが、アミロイドーシスやβサラセミア(TDT)、レーバー先天性黒内障(LCA)などを対象に、ゲノム編集療法の臨床試験が進行中だ。中間解析で有望なデータが示された臨床試験も出ている。米Intellia Therapeutics社と米Regeneron Pharmaceuticals社は2021年6月、トランスサイレチン型家族性(ATTRv)アミロイドーシスを対象としたin vivoのゲノム編集療法(NTLA-2001)について、第1相臨床試験の中間解析結果を発表した。1回の静注で用量依存的な薬力学的効果が確認され、異常なトランスサイレチン(TTR)蛋白質の血清中濃度が大幅に減少したという。

 国内では、眼科領域の遺伝子治療の研究開発を手掛けるVC Gene Therapy(神戸市中央区、高橋政代社長)が、ゲノム編集療法の開発を進めている。同社は、理化学研究所生命機能科学研究センター網膜再生医療研究開発プロジェクトのプロジェクトリーダーを務めていた高橋氏が立ち上げた、ビジョンケア傘下のスタートアップである。現在、網膜色素変性の中でも、ロドプシン遺伝子に変異を持つ常染色体顕性遺伝性の患者を対象として、HITI(ヒティ)法と呼ばれる新規の遺伝子操作技術を活用し、DNAに正常なロドプシン遺伝子を挿入するゲノム編集療法を開発している。

 神戸大学発のスタートアップであるバイオパレット(神戸市灘区、村瀬祥子代表取締役)も、ゲノム編集療法の開発を手掛けている。同社は、神戸大学大学院の西田敬二教授が開発したゲノム編集技術「Target-AID」と「Target-G」を基盤技術としている。2 種類のTarget 技術はいずれも、生物のゲノム情報を塩基配列にコードするDNA の2 本鎖は切らずに、塩基配列を改変する“ 切らない” ゲノム編集ツールだ。現在は、歯周病を対象に口腔(こうくう)のマイクロバイオーム(微生物叢)に着目した生菌製剤や、アトピー性皮膚炎を対象に皮膚のマイクロバイオームに着目した生菌製剤の開発を目指している。

バイオスタートアップ総覧 2021-2022
ゲノム編集療法関連の研究開発を手掛ける企業の掲載ページは以下の通りです。
VC Gene Therapy(p.675)、エディットフォース(p.91)、ときわバイオ(p.291)、バイオパレット(p.322)、C4U(p.505)、Nexuspiral(p.607)、バイオアクセル(p.786)など
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