(画像:123RF)
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 血液脳関門は脳の毛細血管内皮細胞がタイトジャンクションによって密着している構造で、血液から脳組織への物質の移動を制限する役割を持つ。血液から脳組織へ、気体や脂溶性物質は移動しやすいが、水溶性物質は移動できるものが大幅に限られる。このため薬剤を血中に投与しても基本的に脳に届けることができないのが、医薬品開発では悩ましい点となる。

 この点を解決するため、複数の国内スタートアップが、医薬品に血液脳関門を通過させる技術の開発を続けている。血液脳関門を通過できる特性を持った治療薬や、投薬治療に合わせて血液脳関門を広げ、物質の移動を促進する技術などが研究されている。

 その一つが、抗体薬物複合体よりも分子量の少ない「ペプチド薬物複合体」で血液脳関門を通過させる方法だ。アネキサペップ(東京・中央、成田宏紀社長)では、血液脳関門を通過できる特殊なペプチド「アネキシンA1」を使って医薬品を開発している。アネキシンA1は悪性腫瘍の増殖、浸潤に関与し、血管の内皮細胞に特異的に発現する。同社はこれに抗がん薬をコンジュゲートし、脳腫瘍を対象としたペプチド薬物複合体を作る考えだ。現在国内製薬企業と共同研究の交渉中で、2022年内に製薬企業との提携をまとめ、できるだけ早期に臨床試験を開始できるように準備するという。

 ウェルセラ(東京・板橋、丸山一雄代表)は「バブルと超音波による薬剤送達システム」で血液脳関門を開く技術を開発する。ペンタフルオロプロパンのガスを脂質の膜で包んだ「リピッドバブル」に超音波を照射すると、その超音波の強度に応じて圧縮と膨張を繰り返す現象が誘導される。これを患部近くで起こすと血管の内皮細胞結合が一時的に開口し、血管透過性が亢進するという。

バイオスタートアップ総覧 2021-2022
血液脳関門関連の研究開発を手掛ける企業の掲載ページは以下の通りです。
アネキサペップ(p.59)、遺伝子治療研究所(p.71)、ウェルセラ(p.78)、ブレイゾン・セラピューティクス(p.367)、AskAt(p.492)、テオリアサイエンス(p.766)、ファーマコセル(p.796)など
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