(画像:123RF)
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 アプタマーは、標的物質に特異的に結合する能力を持った分子のことで、ペプチドあるいは核酸を用いたアプタマーの研究が盛んだ。網羅的な配列情報を含むライブラリーから、標的分子に対して結合性をもつ配列を分離する過程を繰り返し、目的のアプタマーを取得するといった試験管内分子進化法が広く活用されている。

 アプタマーは抗体とよく比較される。抗体は、研究のために動物への免疫やヒト化などの操作が必要となり、長い期間を要する。一方のアプタマーは比較的短時間で目的の分子を取得しやすい。また抗体は培養細胞による製造工程が必須で高コストになりがちだが、アプタマーは化学合成が可能でコスト面で有利といった違いもある。ただし、アプタマーは抗体に比べて血中での安定性が低いため、分解への耐性を高めるための工夫が必要だ。

 核酸アプタマーを用いた創薬研究を積極的に展開しているのが、タグシクス・バイオ(東京・目黒、古関千寿子社長)だ。同社の基盤技術は、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)の4つのDNA塩基に、5番目の塩基として疎水性を持つ人工塩基「Ds」を挿入した40塩基から50塩基ほどの核酸アプタマーを作製するというものだ。Dsと対になる人工核酸「Px」があり、PCR法による増幅が可能で、塩基配列ライブラリーを用いた従来技術「SELEX法」を使用できる。

 代表的なパイプラインは、円形脱毛症、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、ドライアイの3つ。2021年中には、このうち1つ以上を製薬企業に導出したいと同社では考えており、疾患マウスモデルなどを用いた動物実験のデータ取得を急いでいる。

 ペプチドアプタマーを用いた創薬研究を手掛ける企業としては、上場企業のペプチドリームが有名だが、他にも類似の企業が複数ある。

 そのうちの1社が、メスキュージェナシス(東京・中央、北村幸一郎社長)だ。同社はcDNAディスプレイ法により、ライブラリーから医薬品候補となるペプチドを探索している。ペプチドリームと技術的に類似しているが、メスキュージェナシスは天然アミノ酸のみを用いる点で異なる。人工アミノ酸を用いない分、製造系の問題が少ない他、ベクターを用いて細胞に導入することで蛋白質分解誘導キメラ分子(PROTAC)による創薬に活用できる点もポイントだ。

 開発中のパイプラインは複数ある。アカデミアとの共同研究により、IL-6受容体(関節リウマチ)、カテプシンE(アトピー性皮膚炎、乳がん)、PCSK9(脂質異常症)などに対して親和性の高い候補ペプチドを取得しており、その最適化などを進めている。

バイオスタートアップ総覧 2021-2022
アプタマーの研究開発を手掛ける企業の掲載ページは以下の通りです。
タグシクス・バイオ(p.256)、フォーネスライフ(p.357)、メスキュージェナシス(p.399)、Epsilon Molecular Engineering(p.533)、MOLCURE(p.601)など
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