(画像:123RF)
(画像:123RF)

 ヒトの体表や管腔には多種・多量の細菌が生息しており、これをくさむら=叢になぞらえて「細菌叢」と呼ぶ。また顕微鏡で観察すると植物が群生している花畑(flora)のように見えることから、「フローラ」とも呼んでいる。細菌叢に含まれる細菌の組成は人によって異なる。

 細菌叢の組成は次世代シーケンサー(NGS)を使って16S rRNAをシーケンスすることで解析でき、NGSの普及と共に細菌叢検査も広まってきた。細菌叢の組成と健康状態には関連があると考えられており、組成を改善したり健康な状態に保ったりすることで疾患予防・治療などにつなげる取り組みが進む。細菌叢の代謝物を製剤化する取り組みもある。

 サイキンソー(東京・渋谷、沢井悠代表取締役 CEO)は日本初の個人向け腸内細菌叢検査サービス「Mykinso(マイキンソー)」を2015 年から事業化しており、2021年3月からは細菌叢のタイプに応じてサプリメントを提供するサービス「FloraPlus(フローラプラス)」を開始した。アミノ酸、食物繊維など栄養成分を含む8種類の自社開発サプリメントを組み合わせて提供している。

 Varinos(東京・江東、桜庭喜行[よしゆき]代表取締役)は子宮内の細菌叢に占めるLactobacillus 属の割合と妊娠率に相関があることに着目し、世界初の「子宮内フローラ検査」を2017年に事業化した。子宮内細菌叢を改善するサプリメント「子宮内フローラのためのラクトフェリン」をNRL ファーマ(神奈川県川崎市、角田真佐夫代表取締役社長)と共同で開発し、2020 年から通信販売も開始している。2021 年度に黒字化する見込みで、2023 年頃までには株式上場を目指すなど成長が続く。

 サプリメントの経口摂取だけでなく、ヒトの細菌叢自体を使った治療法の開発も進む。メタジェンセラピューティクス(山形県鶴岡市、中原拓代表取締役社長)は偽膜性腸炎や炎症性腸疾患などを治療する便微生物叢移植(FMT)療法の社会実装を目標とする。健康な人の便に含まれている腸内フローラを病気の患者の腸に移植する治療法で、副作用が少ない治療法として注目されている。肥満や糖尿病などの代謝性疾患、関節リウマチや多発性硬化症などの自己免疫疾患、自閉症やうつなどの精神疾患にも効果が期待されている。

バイオスタートアップ総覧 2021-2022
細菌叢の研究開発を手掛けるスタートアップの掲載ページは以下の通りです。
ウンログ(p.85)、カムイファーマ(p.143)、キティー(p.149)、サーマス(p.174)、サイキンソー(p.184)、ちとせフローラ(p.272)、バイオパレット(p.322)、メタジェンセラピューティクス(p.405)、bitBiome(p.499)、MyMetagenome(p.604)、Noster(p.610)など
●上場予備軍のバイオテク企業398社を一挙収載
●あなたの知らない「次のユニコーン」がこの中に!
●競合と比べた技術的アドバンテージを独自解説
詳しくはこちらをご覧ください!