ゲノム編集食品は、ゲノム編集技術を用いて品種改良した農作物や畜産動物から作られた食品だ。ゲノム上の任意の位置に変異を入れられるCRISPR-Cas9などを活用し、収量や栄養価を高めることで品種の価値を高めている。品種改良は従来、選抜育種で何世代もかけて行われてきたが、ゲノム編集の登場で飛躍的に加速した。

 国内市場はこれから広がる段階だが、2020年12月に厚生労働省の「ゲノム編集技術応用食品および添加物の食品衛生上の取扱要領」に基づいた食品の届出が初めて受理され、改めて注目が集まっている。

 届出の国内第1号となったのは、筑波大発スタートアップのサナテックシード(東京・港、竹下達夫代表取締役会長)が手掛けた「グルタミン酸脱炭酸酵素遺伝子の一部を改変しGABA含有量を高めたトマト」だ。調理用トマト品種「シシリアンルージュCF」の種子親系統を基に作られた雑種第一代の系統で、商品名は「シシリアンルージュハイギャバ」。2021年5月から家庭菜園向けに苗の供給が始まった。今後、粉末やピューレなどの加工食品の販売も予定する。

 ゲノム編集の技術自体を向上させる取り組みも活発化している。名古屋大発スタートアップのグランドグリーン(名古屋市千種区、丹羽優喜代表取締役)は、これまでゲノム編集を適用するのが難しかった品種にも使える独自のゲノム編集ツールや、植物のゲノム編集の成功確率を上げる独自のデリバリー技術を持つ。

 広島大発スタートアップのプラチナバイオ(広島県東広島市、奥原啓輔代表取締役 CEO)は、広島大学で開発された国産ゲノム編集技術「Platinum TALEN」を提供する。CRISPR-Cas9の知財紛争がゲノム編集技術の産業応用や事業化の障壁となっていたことを受け、知財関係がクリアな選択肢として開発したという。Platinum TALENは畜産、水産、藻類、植物の品種改良で応用が始まっている。

バイオスタートアップ総覧 2021-2022
サナテックシードを含め、ゲノム編集食品の開発を手掛ける企業の掲載ページは以下の通りです。
インプランタイノベーションズ(p.75)、グランドグリーン(p.168)、サナテックシード(p.196)、セツロテック(p.232)、プラチナバイオ(p.360)など
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