間葉系幹細胞(MSC)は、免疫調節機能や抗炎症機能など多様な機能を持ち、様々な疾患の治療薬として研究開発が進んでいる。既に実用化されている製品もあり、他家骨髄由来MSCを製剤化した「テムセル」や自家骨髄由来MSCを製剤化した「ステミラック」などの再生医療等製品が上市されている。また、国内の上場企業であるサンバイオやヘリオスなどは、MSCを活用した臨床開発が進行中だ。

骨髄から採取された間葉系幹細胞(MSC)は様々な細胞に分化できるため再生医療で注目されている(画像:123RF)
骨髄から採取された間葉系幹細胞(MSC)は様々な細胞に分化できるため再生医療で注目されている(画像:123RF)

 MSCは、種々のサイトカインや増殖因子を分泌し、患者自らの治癒再生能力を引き出す。また、一部のMSCは組織に生着して未分化のまま、あるいは分化してその組織に必要な機能を担うと考えられている。このため応用範囲が広く、これまで多くの投与経験があることから、安全性が高いことも強みとなる。

 MSCの臨床開発を進める国内の未上場バイオスタートアップの代表例は、ヒューマンライフコード(東京・中央、原田雅充社長)だ。臍帯由来MSCを用いた臨床試験を複数の疾患に対して実施している。先行しているのは急性移植片対宿主病(GVHD)に対する開発で、2018 年7 月から白血病治療に伴うステロイド抵抗性の重症急性GVHD 患者を対象に、臍帯由来MSCの医師主導治験(第1相相当)を実施した。2021年内に、第2相治験を開始する計画で、有効性を評価して承認申請する方針だ。

 また、日本医療研究開発機構(AMED)の「新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に対する治療薬開発」に採択され、COVID-19 に伴う急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を対象とした臨床試験も進行している。

 島根大学発のPuREC(島根県出雲市、小林祥泰[しょうたい]社長)も、MSCの臨床開発を進めている。同大学で開発された超高純度ヒト間葉系幹細胞(Rapidly Expanding Cells:REC)の実用化を目指しており、希少難病の低ホスファターゼ症に伴う先天性骨形成不全症に対するREC-01の医師主導治験(第1/2a相相当)を開始すると発表した。有効性が認められれば、承認申請も視野に入る。他に、脊柱管狭窄症、関節疾患に対する開発も進んでいる。

バイオスタートアップ総覧 2021-2022
間葉系幹細胞の開発を手掛ける企業の掲載ページは以下の通りです。
イシンファーマ(p.68)、ヒューマンライフコード(p.342)、ミネルヴァメディカ(p.383)、PuREC(p.622)、RAINBOW(p.625)など
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