標的蛋白質分解誘導薬は、生体内で不要な蛋白質を分解するメカニズムであるユビキチン・プロテアソーム系を活用し、疾患の原因や増悪に関わる異常な蛋白質の分解を誘導する低分子化合物の総称だ。具体的には、E3リガーゼと標的蛋白質の双方に結合するバイファンクショナルな化合物によって、標的蛋白質にE3リガーゼを物理的に近づけて、分解を誘導する。

 標的蛋白質分解誘導薬は、蛋白質間相互作用(PPI)で機能する分子や、ポケットが見つかっていない標的蛋白質など、従来の創薬手法では狙いにくかった、いわゆるアンドラッガブルな創薬標的を標的化できる。そのため近年は、グローバルの大手製薬企業からスタートアップまで、標的蛋白質分解誘導薬の研究開発が急ピッチで進められている。国内でも複数の製薬企業が研究に着手しているが、この領域でスタートアップの躍進が目立つ。

 国内の代表的なスタートアップの1社が、ファイメクス(神奈川県藤沢市、冨成祐介代表取締役)だ。同社は、武田薬品工業のアントレプレナーシップベンチャープログラム(EVP)の一環で、2018年1月、同社からカーブアウトする形で設立された。同社は、標的蛋白質分解誘導薬向けに最適な化合物をスクリーニングする基盤技術「RaPPIDS」をプラットフォームとして、自社創薬や外部企業との共同創薬を進めている。先行する開発品は、シュードキナーゼであるIRAK-Mの標的蛋白質分解誘導薬(開発番号:FIM-001)であり、現在は非臨床試験が進行しているところだ。

 もう1社の注目スタートアップが、FuturedMe(東京・中央、横倉隆代表取締役)だ。同社は、東京理科大学総合研究院の宮本悦子教授らの研究成果をベースとして、2018年6月に立ち上げられた。同社は、基盤技術「CANDDY」をプラットフォームとして、E3リガーゼではなく、プロテアソームと標的蛋白質の双方に結合するバイファンクショナルな化合物によって、標的蛋白質の分解を促す低分子化合物の開発を進めている。

バイオスタートアップ総覧 2021-2022
標的蛋白質分解誘導薬の開発を手掛ける企業の掲載ページは以下の通りです。
ファイメクス(p.348)、メスキュージェナシス(p.399)、FuturedMe(p.543)、ユビエンス(p.826)など
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