原田代表取締役(提供:ヒューマンライフコード)

 ベンチャー企業のヒューマンライフコード(東京・千代田、原田雅充代表取締役)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う急性呼吸窮迫症候群(ARDS)患者を対象として、臍帯由来間葉系細胞の国内開発を始める。順調にいけば、2020年7月中に治験届を提出し、2020年10月にも企業主導の第1相治験をスタートさせる計画だ。

 同社の臍帯由来間葉系細胞は、急性移植片対宿主病(GVHD)を対象に第1相臨床試験を終えており、安全性が確認されている他、製造法が確立され、治験用再生医療製品の製造が可能になっている。2020年4月末、同社は臨床医からの依頼でCOVID-19に対する開発について検討を開始し、2020年6月には日本医療研究開発機構(AMED)の「新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に対する治療薬開発」に採択された。

 今回同社が実施する治験の対象は、COVID-19に伴うARDS患者、最小3例、最大12例。抗ウイルス療法やARDSの標準治療に上乗せする形で、臍帯由来間葉系細胞を週2回を2サイクル、計4回、輸注する。「GVHDの第1相臨床試験での至適投与量を、初回投与量に設定する予定だ」(原田代表取締役)。主要評価項目は、用量制限毒性(DLT)の発現の有無になる見通し。製造は、東京大学医科学研究所同附属病院の細胞培養加工施設(CPC)で行う。

 臍帯由来間葉系細胞の作用機序について、原田代表取締役は、「COVID-19に伴うARDSは、サイトカインストームが病態の主体なので、抗炎症作用を有する臍帯由来の間葉系細胞も治療に活用できるのではないかと考えている」と説明。また、今回の第1相臨床試験のデータで早期承認を得られる可能性については、「最小3例での早期承認は難しいだろう。第2相臨床試験で主要評価項目に有効性を設定し、それが示されてからと考えている」と話していた。

 ヒューマンライフコードは、2017年4月に設立された未上場のベンチャー企業。当初、日本トリム傘下の子会社だったが、2019年8月にシリーズAの資金調達を実施し、関連会社となった。2020年4月には、細胞の製造に向け、ロート製薬と資本提携した他、輸配送の構築に向け、アルフレッサ ホールディングスと資本業務提携した。

 同社の主要な開発品は、東京大学医科学研究所同附属病院セルプロセッシング・輸血部の長村登紀子准教授の研究成果やノウハウをベースとして、臍帯から間葉系細胞を取り出し、拡大培養した臍帯由来間葉系細胞だ。現在は、急性GVHDを対象に第1相臨床試験に相当する医師主導治験を終えたところで、今後、企業主導の第2相臨床試験を行う計画だ。

 同社によれば、臍帯由来間葉系細胞は、増殖スピードが速く、安定的かつ大量に間葉系細胞が得られることや、分泌されるサイトカインの種類や量が骨髄由来間葉系幹細胞と異なること、(他家細胞であるにもかかわらず)炎症環境下でも異物を認識するヒト白血球抗原のHLA-DRの発現が抑えられていることなどの特徴があるという。