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 ドイツCureVac社は2020年6月17日、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染予防のmRNAワクチン候補の第1相試験を、ドイツとベルギーで開始すると発表した。両国の規制当局が試験開始を承認した。同社は、独自のmRNA技術基盤を用いて2020年初めから開発に着手し、厳格な選定プロセスを経て臨床開発候補をCVnCoVに決定した。

 第1相試験は、18歳から60歳の健常者168人を目標登録とし、初回登録の被験者はドイツInstitute for Tropical Medicine in Tubingen、ベルギーGhent University Hospitalなどで投与を受ける予定だ。CVnCoVの投与量は2μgから8μgの範囲で、安全性を評価しつつ至適用量を決定し、ヒトにおける免疫応答の特性を解析する。
 
 なおCureVac社は、同社の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン開発に対し、官民連携パートナーシップである感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)からの資金提供を受けている。CEPIは2019年末からのCOVID-19の拡大を受けて、ワクチン開発を支援する活動を迅速化して直ちに資金拠出先を決定しており、CureVac社が米Inovio Pharmaceuticals社、米Moderna社などと共に対象企業に選ばれていた。

 mRNAワクチン候補CVnCoVは、SARS-CoV-2が発現する完全長のスパイク(S)蛋白質をコードするmRNAのヌクレオチドを化学修飾せずに利用し、免疫システムを強力にバランスよく活性化するように設計された。ドイツTubingenにあるCureVac社のGMP基準を満たす大規模製造施設で脂質ナノ粒子(LNP)封入製剤として生産し、第1相試験薬として供給する。

 CureVac社におけるmRNA薬の創製では、専有するRNAoptimizerと呼ぶプラットフォームを駆使して蛋白質のデザイン、mRNAの最適化、およびmRNAの送達を決定する。標的とする蛋白質抗原に対する免疫応答の度合いを加減することができ、感染症の予防ワクチンやがんの免疫療法を目的に応じて綿密に設計し得る。mRNA配列の5’末端と3’末端の非翻訳領域、および蛋白質へと転写・翻訳されるオープンリーディングフレームをカスタマイズすることにより、理論的には目標レベルの蛋白質量を発現させることが可能と考えられている。さらに同技術は、蛋白質医薬や抗体医薬が投与されたときの免疫の活性化を回避させるためにも応用できることから、様々な疾患に対する新たな治療様式に適合するとも考えられている。