2020年6月5日に開催された政府の健康・医療戦略参与会合

 日本製薬工業協会(製薬協)の中山讓治会長は2020年6月5日、政府の健康・医療戦略参与会合で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などの研究開発推進について政府に要望した。感染症の治療薬やワクチンの開発には、政府が司令塔機能を設置した上で研究開発から生産供給まで一貫した戦略を立案し、推進・支援することが必要だとする内容で、提言書を近日中に公表する。

 会合では、健康・医療戦略の第1期の実行状況と第2期の戦略について事務局から説明があった後、参加した参与が第2期の戦略に対する期待や政府の役割などについて、意見を表明した。

 その中で中山会長は、感染症の治療薬やワクチンの開発では、不確実性などがあるため一企業が単独で行うことは極めて困難であり、国やアカデミアとの連携が必須となるとの前提に立ち、「司令塔の役割を担う機関を設置し、その下で戦略を立案するべきだ」とした。現在、製薬協の加盟各社のうち22社が治療薬やワクチンの研究開発を推進しており、適切な支援の下で活動が進むよう要望した。

 特に研究開発については、新規モダリティ研究促進、サンプルや情報の共有などの研究開発振興策、緊急時のドラッグリポジショニングをしやすくするための体制整備として既存薬のライブラリー構築、スクリーニング実施体制の構築、ルール整備、また臨床開発促進に向けてリアルワールドデータの基盤構築や活用なども必要だとする意見を表明した。

 加盟各社は、国立感染症研究所が行うCOVID-19治療薬スクリーニングのために、化合物や関連論文を提供している。また製薬協では加盟各社による治療薬・ワクチンの研究開発やその他の取り組みを特設ウェブサイトで公開している他、ウイルス情報の共有プラットフォームであるGlobal Initiative on Sharing All Influenza Data (GISAID)に治療・予防研究開発支援のため5万ユーロを拠出した。

 製薬協では、新型コロナウイルス感染症だけでなく、新興・再興感染症、薬剤耐性なども含め、治療薬やワクチンの迅速な創出と安定供給を実現・促進するために必要な施策などをまとめた提言書を近く公表するという。

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