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 米Gilead Sciences社は2020年6月1日、中等度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者を対象に進めているレムデシビルの第3相臨床試験(以下、同試験)について、最初の約600例のデータ解析の結果を発表した。レムデシビルを5日間投与した患者群では、標準治療のみを受けた患者群よりも試験開始後11日目に臨床的改善が見られる患者の割合が有意に高かった。ただし、同薬を10日間投与した群と標準治療群では有意差は認められなかった。Gilead社は、10日間投与群で有意差が認められなかったことに関する考察は述べておらず、「今後数週間以内に同試験の詳細なデータを論文として公表する予定」(Gilead社の日本法人の広報担当者)と説明している。

 同試験は、COVID-19と診断された中等度の入院患者1600例を対象とした非盲検ランダム化比較試験(米国の臨床試験データベースの登録番号:NCT04292730)だ。具体的には、酸素飽和度が94%より高い、胸部X線撮影などで浸潤影が認められるなどの条件を満たした中等度の入院患者が対象で、機械的換気が必要な患者は含まれていない。

 同試験では、被験者を標準治療に上乗せしてレムデシビル(開発番号:GS-5734)を5日間静注投与する群(5日間投与群)、または10日間静注投与する群(10日間投与群)と標準治療のみを受ける群(標準治療群)の3群に均等に割り付け、試験開始(初回投与)から11日目の重症度を7段階の尺度で評価する。

 臨床試験データベースによると、同試験はまだ完了しておらず、Gilead社は被験者の募集を続けている。今回Gilead社は、同試験の最初の584例のデータの解析結果を公表した。症例数は5日間投与群が191例、10日間投与群が193例、標準治療群が200例だった。

 解析の結果、試験開始後11日目に重症度が2段階以上改善した被験者は、5日投与群で約70.2%(134例/191例)、10日投与群で約65.3%(126例/193例)、標準治療群で60.5%(121例/200例)で、「5日間投与群は、標準治療群と比較して、症状が改善した患者の割合が有意に高かった(p=0.017)」(Gilead社の日本法人の広報担当者)。ただし、10日間投与群と標準治療群では有意差は認められなかった。Gilead社は10日間投与群で有意差が認められなかった理由については言及していない。

 また、臨床状態が悪化した患者や死亡した患者の割合は、標準治療群の方が5日間投与群および10日間投与群より高かったものの、有意差は無かった。レムデシビルの安全性については、5日間投与群と10日間投与群の両群で良好な忍容性が確認された。

 Gilead社は同試験の他にも、COVID-19と診断された重度の入院患者6000例を対象とした非盲検ランダム化比較試験(NCT04292899)も進めている。Gilead社はこれまでに、重度の入院患者を対象にした試験について、最初の397例に関する解析結果を発表しており、「今回公表した結果と合わせて、約1000例分の詳細な結果を論文として公表する予定」(Gilead社の日本法人の広報担当者)としている。