(画像:123RF)
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 英AstraZeneca社は2020年5月21日、複数の国や国際的な組織と契約を結び、英Oxford大学が開発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン候補(以前の開発番号:hAdOx1 nCoV-19、現在の開発番号:AZD1222)の幅広く公平な供給を可能にする計画であることを明らかにした。パンデミック中は全世界に対し、利益無しでの提供を検討中だという。

 AZD1222は、組換えアデノウイルスベクターChAdOx1にSARS-CoV-2スパイク蛋白質をコードする遺伝子を導入した、単回投与用のワクチンだ。ChAdOx1を用いたワクチンの開発はMERSなどを対象に以前から行われており、そうしたワクチンに関する臨床試験に登録された320人を超える人々において、ChAdOx1ワクチンは安全で忍容性が高いこと、有害事象としては、一時的な発熱、インフルエンザ様症状、頭痛、注射部位の疼痛などが生じ得ることが示されていた。

 同社が最初に結んだAZD1222供給契約では400ドーズ以上の提供を約束しており、2020年9月の出荷開始を予定している。2020年から2021年にかけての出荷予定は10億ドーズとなっているが、同社は今後数カ月以内に、製造能力をさらに拡大する計画だという。

 同社は5月21日、米生物医学先端研究開発局BARDA(Biomedical Advanced Research and Development Authority)から、このワクチンの開発と製造、配送を支援する資金として、10億ドル超を得ることになった。この契約によってカバーされる開発プログラムには、3万人を登録して行う第3相試験と、小児を対象とする試験が含まれている。

 加えて同社は、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)、GAVIアライアンス、世界保健機関(WHO)などの国際機関と協力して、全世界に対する公平な分配と配送を可能にする計画だ。ワクチンの利用を容易にするために、世界各国の政府とも議論を重ねている。並行して、Serum Institute of Indiaその他のパートナー候補と、製造拡大を目指した協議を進めている。

 同社は先に、同大のJenner InstituteとOxford Vaccine Groupと結んだ世界的な開発と提供に関する契約に続いて、このワクチンに関するライセンス契約をOxford大と締結したところだ。

 AZD1222の安全性、免疫原性、有効性を評価する第1/2相試験は4月に開始された。イングランド南部で1000人を超える18-55歳の健常人ボランティアを登録する計画の試験の結果は間もなく明らかになる見込みで、得られる結果に基づいて、複数の国で第3相試験が開始されると予想されている。同社は、臨床試験においてワクチンの有効性を示せない可能性もあることは認識しているが、リスクを抱えながらも、臨床試験プログラムを速やかに推進し、製造規模を拡大することに力を注いでいる。

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