米Microsoft社を創業したBill Gates氏は多額の私財を投じて、ワクチン開発を後押ししている(画像:123RF)
日経バイオテク×日経メディカル共催 緊急オンラインセミナー
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)征圧への道
2020年 5月 30日(土) 10:00~12:30
https://www.nikkeibp.co.jp/seminar/atcl/med/200530/

 Bill Gates氏は、2020年4月30日のブログで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンは、人類史上最速で開発されるだろうとの考えを示した。同氏が特に期待しているのはRNAワクチンだという。

 同氏によると、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)によるCOVID-19の流行が始まった2019年12月より前の世界を取り戻せるのは、ほぼ完全な治療薬を手に入れたとき、または、地球上の全ての人がSARS-CoV-2に対するワクチンの接種を受けたときだ。

 同氏はブログで「極めて効果が高い治療薬が登場するまでには時間がかかるだろう。現在検討されている治療薬候補は、いずれ多くの命を救えるかもしれないが、パンデミックを完全に終わらせることができるほどの効果は持っていない。残された希望はワクチンだ。できるだけ早く、有効で安全なワクチンを開発し、大量に製造して、世界の隅々にまで送り届ける必要がある」と指摘した。

 米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のAnthony Fauci所長は、SARS-CoV-2に対するワクチンの開発には18カ月を要するとの考えを明らかにしている。それに対して、Gates氏は、「最短で9カ月、最長2年以内にワクチンが開発できる」との考えを提示した。

 これまでのワクチン開発に、約5年がかかってきたことを考えると、18カ月というのは非常に短い時間での開発成功を意味する。通常、ワクチンの開発は、臨床試験で好結果を得てから、商品化のための製造と承認申請を行い、審査、承認という一連の過程を経て実用化される。しかし、「COVID-19との闘いにおいては、全ての過程をできるだけカットし、迅速に商品化することによって、より多くの命を救い、経済的なダメージを縮小できるはずだ」とGates氏。

 「通常のワクチン開発においては、コストを増やさないために、開発の各段階で慎重な検討が行われる。しかしCOVID-19の場合には、費用対効果の高い開発を心掛ける必要は無い。Bill & Melinda Gates Foundationのような組織や政府が、資金を援助するからだ。科学者たちは、速やかな開発と商品化することに集中できるはずだ」とした。

 4月9日の時点で、COVID-19を対象に開発されているワクチン候補の数は115品目に上る。Gates氏は、それらのうちの8品目から10品目について、「特に有望」と考えているという。115品目の候補品の中には、伝統的な不活化ワクチンや弱毒化生ワクチンも含まれているが、「それらは開発に時間がかかる。特に有望と考えられるのは、RNAワクチンとDNAワクチンだ。短い時間で商品化できる可能性がある」(Gates氏)。

 Bill & Melinda Gates Foundationはこれまで約10年間、マラリアのような疾患を対象とするRNAワクチンの開発を支援してきた。そして今、RNAワクチンを、COVID-19ワクチン候補の中で最も有望なものの1つと見なしている。RNAワクチンの中で最初にヒトを対象とする臨床試験の段階まで開発が進んだのは、米Moderna社の製品候補である。

 Gates氏は、「ワクチンの臨床試験では、有効性と安全性が示されなければならない。安全性については、軽い発熱や注射部位の疼痛といったマイナーな副作用は許容範囲内だ。有効性については、予防効果が100%というのはあり得ない」とした上で、「有効性が70%以上であればアウトブレイクを収束させられる。60%であっても利用できるが、局所的なアウトブレイクは発生する可能性がある。60%未満では、このウイルスの感染を阻止する集団免疫を人々に付与することはできないだろう」との見解を示した。また、通常、高齢者ほどワクチンの効果は低いことに触れ、「COVID-19ワクチンは高齢者にも有効でなければならない」とした。

 さらに、ワクチンについては、有効性と安全性以外にも、(1)接種回数は1回が理想的だが、十分な免疫を得るためには複数回接種が必要になるかもしれない。そうなれば、必要となるドーズは大きく増える、(2)製品の保存法については、多くのワクチンが4℃保存だが、RNAワクチンの場合には-80℃程度である必要があり、これが全世界に流通させることを難しくする可能性がある──といった課題について検討する必要性も指摘した。

 加えて、「世界の全ての地域に対して、同時にワクチン接種を可能にできるわけではない。全世界にワクチンが行き渡るまでには数カ月から数年を要するだろう。実用化後、最初に接種すべきは医療従事者であることについては、議論の余地は無いだろう。しかし次は誰にすれば良いのか」との問いを投げ掛け、「低所得国への提供を早くすべきだと考えている。貧困国ではSARS-CoV-2の流行拡大のスピードが速く、死亡リスクが高いからだ。ワクチンが早期に利用できるようになれば、多くの命を救うことができる」との見解を示した。

 最後に、「通常ならワクチン製造会社は、工場が所在する国と契約を結び、その国の人々に優先的にワクチンを供給することになる。しかし今回は、全世界の人々が平等に入手できる方法を見いださなければならない。世界保健機関(WHO)と各国の規制当局は、公平な分配のためのルールを構築する必要があるだろう」と指摘している。

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会場  Zoomを使ったウェブ配信セミナー
受講料 2000円(税別)
定員 500名(上限)
主催 日経メディカル、日経バイオテク
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