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 英Oxford Universityは、2020年4月21日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防向けに開発中のワクチン(開発番号:ChAdOx1 nCoV-19)について、今週中に臨床試験で接種を開始すると明らかにした。COVID-19に対しては、米国、中国でワクチンの臨床試験が始まっており、それに次ぐものとみられる。

 ChAdOx1 nCoV-19は、Oxford UniversityのJenner Instituteが開発した弱毒化アデノウイルスベクター(ChAdOx1)に、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)がヒト細胞へ感染する際の足掛かりとなるスパイク(S)蛋白質遺伝子を導入した組換えウイルスワクチン。接種後に体内でスパイク蛋白質が発現し、スパイク蛋白質に対する中和抗体などが誘導されると期待される。

 ChAdOx1 nCoV-19は、2020年1月10日から、Jenner Instituteで設計が開始され、約3カ月半で臨床試験の開始に至った。開発に当たっては、Oxford Universityのバイオ医薬品の開発製造施設であるClinical BioManufacturing Facilityにて、ウイルスバンク(ウイルスシード)の樹立や非臨床試験が実施され、治験薬の製造も行われている。ただ、治験薬の製造は今後、提携先のイタリアAdvent社に移されるとみられる。

 米国の臨床試験データベースの登録情報によれば、第1/2相臨床試験は、単盲検ランダム化比較試験として実施される。対象は、18歳から55歳の健常者510例。被験者は、ChAdOx1 nCoV-19の1回接種または2回接種(4週間隔)または対照群である髄膜炎菌(MenACWY)ワクチンの1回接種を受ける。

 主要評価項目は、有効性に関しては、その後6カ月間でPCR検査でCOVID-19への感染が確認された発症症例数、安全性に関しては、その後6カ月間の重篤な副作用。終了予定は、2021年5月。その後、第3相臨床試験に移行し、有効性が確認されれば承認申請されるとみられる。

 Jenner Instituteは、中東呼吸器症候群(MERS)に対しても、弱毒化アデノウイルスをウイルスベクターとしたワクチンを開発。英国で実施さた第1相臨床試験では、1回の接種で強力な免疫反応が得られることが分かっている。現在は、MERSの感染が認められるサウジアラビアにおいて、第2相臨床試験が実施されているところだ。