塩野義製薬は、2020年4月14日、同社と北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターとの共同研究において、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)株を用いた低分子化合物のスクリーングを実施し、複数のヒット化合物を同定したことを明らかにした。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬として実用化することを目指し、開発を進める。

 同社は、感染症を重点領域の1つに位置付けており、これまでも季節性のコロナウイルスに対する創薬研究などを行ってきた。今回の新型コロナウイルスに対しては、治療薬の開発を目指し、北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターと共同研究を進めている。

 共同研究では、2019年12月ごろから、新型コロナウイルスと同じ、β属のコロナウイルスの既存株(OC43株)に、同社の化合物ライブラリーに保存されている低分子化合物を添加して、ウイルスの活性を抑えるかどうかを調べる化合物のスクリーニングをスタートさせ、幾つかの化合物を同定。2020年3月以降は、SARS-CoV-2株を用いた低分子化合物のスクリーニングを行い、ウイルス活性を抑える複数のヒット化合物を見いだしたという。そのうち1つのヒット化合物の50%効果濃度 (EC50)は、0.10μMだった。塩野義製薬は今後、同定された複数のヒット化合物について、構造活性相関の解析や標的分子の同定などを行い、毒性を考慮しつつ、化合物の修飾を進める。並行して、原薬の製造などの検討も行う。

 同社は、COVID-19に対する治療薬の研究開発を最優先プロジェクトの1つとして位置付けており、「最短で2020年度内の臨床試験の開始を目指す方針だ」(広報担当者)。ただ、「低分子化合物の開発は、非臨床での毒性の評価などにそれなりの期間を要するため、まだ先はかなり長いと考えておいた方が良いだろう」と業界関係者は話している。

 なお、新型コロナウイルスに対しては、日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けて、国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センターの長谷川秀樹センター長が進めているCOVID-19の予防用ワクチン開発に、2020年3月から、塩野義製薬のグループ会社であるUMNファーマが参画。研究開発の詳細や開発段階は明らかではないが、感染の足掛かりとなるスパイク蛋白質を抗原とした組換えワクチンを開発しているのではないかと推測されている。