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 米Johnson & Johnson(J & J)社は2020年3月30日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンのリード候補を決定したと発表した。また、傘下のJanssen Pharmaceutical Companies部門と米保健福祉省(HHS)生物医学先端研究開発局(BARDA)との現在のパートナーシップを拡大したこと、10億回分以上を供給可能なワクチンの製造設備を速やかに整えることも明らかにした。

 J&J社は決定したワクチン候補について、遅くとも2020年9月までの第1相試験開始を目指し、同年末までに出てくる安全性と有効性の臨床データ次第では、2021年初めまでに最初の製造バッチを使用した製品化を実現するとしている。通常のワクチン候補が承認取得までに5年から7年を要するところ、米食品医薬品局(FDA)による緊急使用許可(EUA)を通じて実用化プロセスの加速を狙う。

 J&J社は2020年1月、COVID-19ウイルスの遺伝子配列が公表されるや否やワクチン開発に着手した。Janssen社が米Harvard Medical Schoolの一部であるBeth Israel Deaconess Medical Centerと共同研究チームをつくり、Janssen社専有のアデノウイルスベクターの基盤技術「AdVac」を活用して複数のワクチン候補を設計し、短期間でも精査を重ねてきた。学術機関の専門家らの協力を得て、前臨床試験における免疫反応に基づき有望な候補を抜粋し、製造工程に進める要件を満たすリード候補を決定した。同時に、バックアップの2品目も予備的に選出済みだ。

 COVID-19ワクチンプログラムは、Janssen社のAdVac技術、並びに同技術と組み合わせて使う基盤技術「PER.C6」を駆使して進められてきた。PER.C6技術は、ワクチンやモノクローナル抗体の高収率の生産能力を増強し、コスト効果の高い大規模製造システムを実現する。特に、製造工程での増殖能が低いウイルスを対象とするワクチンの製造に高い有用性を発揮するという。AdVacとPER.C6の両方の技術を活用することで、ワクチン開発の迅速化と生産能力の強化が見込まれる。

 Janssen社とBARDAとの今回の提携拡大では、J&J社とBARDAが協力してワクチンの研究開発に10億ドル(約1076億円)以上を既に投資しており、ワクチン開発技術をさらに進化させるため、人材や設備投資などへの資金配分を行っている。その取り決めにはJ&J社の世界的生産能力の拡充も含まれる。これは、米国での生産能力をより高めるとともに、他国での生産能力向上も図る目的で、現在のCOVID-19パンデミックのような差し迫った危機に直面したときでも、迅速な製造対応を可能にするための計画だ。緊急時の非営利目的で、10億回分以上のワクチンを全世界に供給できる態勢を構築することを目指す。

 同提携拡大では、ワクチン開発とは別に、新型コロナウイルスを対象とする抗ウイルス薬の開発に活用するための資金拠出でもJ&J社とBARDAが協力した。Janssen社がベルギーRega Institute for Medical Researchと共同で進めている化合物ライブラリーのスクリーニング業務を加速し、新型コロナ治療薬の開発力を強化する。