英国、全土の患者検体から新型コロナの全ゲノムシーケンシスへ

(2020.03.27 08:00)
大西淳子

 英国政府と英国のChief Scientific Adviser(CSA)を務めるSir Patrick Vallance氏は、2020年3月23日、国内における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染ルートの分析や感染拡大を阻止する戦略の構築を容易にするために、2000万ポンドの研究費を配り、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者由来の検体から、SARS-CoV-2の全ゲノムをシーケンスする取り組みを始めると発表した。

新型コロナウイルスの電子顕微鏡像(提供:国立感染症研究所)
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 この目的のため、国民保健サービス(NHS)、Public Health England、UK Research and Innovation(UKRI)、Wellcome Sanger Instituteなどの公的機関、研究機関から構成されるCOVID-19 Genomics UK Consortiumが設立された。コンソーシアムは、英国内で流行しているSARS-CoV-2株の全ゲノムを大規模かつ迅速にシーケンスし、得られた知見を地域のNHSセンター、病院などと共有する計画だ。

 地域の臨床医は、COVID-19と確定診断された患者から採取した検体を、地域別にBelfast、Birmingham、Cambridge、Cardiff、Edinburgh、Exeter、Glasgow、Liverpool、London、Norwich、Nottingham、Oxford、Sheffieldのシーケンスセンター・ネットワークに送付することになっている。それら施設の協力を得て、Wellcome Sanger Instituteは、英国内に流行しているSARS-CoV-2の全ゲノムを分析する計画だ。

 ウイルスの全ゲノム配列は、国内で流行しているウイルスの変異をモニターし、それに基づいて、どのように感染が拡大しているのか、異なる株が広まっているのかどうかなどを知ることを可能にする。そうした情報は、たとえば、院内やケアホーム、地域にクラスターが発生した場合に、感染経路を推測し、適切な感染制御策を実施するために役立つだろう。

 同コンソーシアムは、英国が今回のパンデミックと将来のパンデミックに対処するためのブレイクスルーをもたらすと期待されている。

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