わずか2カ月前の8月、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新規感染者は1日当たり2万人を超えていました。それが9月から減少を始め、10月に入ると日本全国の感染者を合計しても1000人を下回る日々が出てきました。ただ、コロナ禍が過ぎ去ったと喜ぶのは早計で、「今こそ感染症に対する危機対応を抜本的に改革する必要がある」と塩崎恭久議員は語ります。今秋に予定されている衆議院選挙には出馬しない塩崎氏ですが、厚生労働行政には並々ならぬ思い入れがあります。

衆議院議員 <br>(元厚生労働大臣)
衆議院議員
(元厚生労働大臣)
塩崎 恭久 氏

 塩崎氏は愛媛1区選出の衆院議員です(当選9回、うち参院1回)。2014年9月から2017年8月まで厚生労働大臣を務めた他、現在も自民党データヘルス推進特命委員会で委員長を務めています。2000年に起きた「加藤の乱」では、宏池会の会長だった加藤紘一氏が森喜朗内閣の倒閣に動いて失敗しましたが、当時宏池会の若手議員だった塩崎氏は岸田文雄氏や石原伸晃氏らと共に最後まで闘いました。

 その塩崎氏は政界を引退する前に、かつてないほど激しく、政府の医療政策に異を唱えています。例えば、8月2日に厚生労働省が「入院させる必要がある患者以外は、自宅療養を基本とする」という方針を打ち出しました。この際、自民党内で明確な形で即刻撤回を求めたのは塩崎氏だけでした。塩崎氏は保健所が地域医療機関などと患者情報を共有し、自宅療養者を医療機関につなぐ「公衆衛生と地域医療の一体化」を図るべきと、かねてより主張してきた経緯があります。

 コロナ禍を通じて塩崎氏が訴え続けているのは、感染症の対策を「平時」から「有事」へ転換しなければならないということ。日本の感染症対応は、旧伝染病予防法の名残があるからか、明治以来一貫して都道府県単位で進められてきました。そのためデータの管理が自治体ごとに異なり(いわゆる個人情報保護法制2000個問題)、国と県そして保健所の指揮命令系統も明確にはなっていません。それでは全世界に感染が広がった今回のようなパンデミックには、到底対応できません。だからこそ塩崎氏は、有事にも対応できるように感染症法を改正しなければならないと考えています。

大規模感染症が流行したときの国と地方公共団体の責務を法律に明記

 塩崎氏は既に、感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)をどのように変えるべきか、具体的な案を用意しています。

 例えば、第三条(国及び地方公共団体の責務)では、大規模感染症が流行したときの国と地方公共団体の責務を、以下のように明記すべきと考えています。

第三条(略)
2・3(略)
4 は、大規模感染症流行時(感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある場合をいう。以下同じ。)において、国民の生命及び健康を保護する固有の使命を有することから、新感染症その他の感染症に迅速かつ的確に対処し、国全体として万全の措置を講ずるよう努めなければならない。
5 地方公共団体は、大規模感染症流行時における当該地方公共団体の住民の生命及び健康の保護に関して、国の方針に基づく措置の実施その他適切な役割を担うよう努めなければならない。

 この他にも、以下の事柄についても塩崎氏は法案の具体策を用意しています。
・国の指揮命令権、緊急時の知事権限の直接執行
・国による感染症情報の一元管理・オンライン
・PCR検査等の数値目標を含む目標の設定
・行政検査の対象の拡大・スクリーニング検査
・行政検査以外のスクリーニング検査に対する公費負担
・公的医療機関等に重症・中等症患者を選択と集中
・宿泊施設、居宅等の患者に対する健康管理及び医療の確保

 いかがでしょうか。政界は引退するものの、塩崎氏は引き続き国の課題について積極的に政策を提言していく方針です。そこで日経BPは、塩崎氏を含め3人の識者を招いて『Next Pandemicに備える~コロナが突きつけた課題をいかに克服するか~』というテーマのオンラインセッション(無料)を開催します。興味のある方は、以下よりお申し込みください。事前登録が必要です。

日経クロスヘルスEXPO 日経バイオテク特別セッション

日経BPは2021年10月20日(水)の10:00 ~ 11:20、『Next Pandemicに備える~コロナが突きつけた課題をいかに克服するか~』というテーマでオンラインセッション(無料)を開催します。

【概要】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、私たちの生活や仕事は一変した。人類はわずか1年余りでワクチンを開発したものの、ウイルスは変異を繰り返し、収束までの道のりは遠い。治療薬やワクチンの開発遅れや感染症流行時の病床逼迫(ひっぱく)など、コロナ禍で浮き彫りになった日本の課題は少なくありません。こうした課題をいかに克服していくか。3人の有識者を招き、建設的な議論を展開します。

衆議院議員<br>(元厚生労働大臣)
衆議院議員
(元厚生労働大臣)
塩崎 恭久 氏
アーサー・ディ・リトルジャパン パートナー
アーサー・ディ・リトルジャパン パートナー
花村 遼 氏
塩野義製薬<br>取締役副社長
塩野義製薬
取締役副社長
澤田 拓子 氏

モデレーター:日経バイオテク編集長 坂田亮太郎
※お申し込みは事前登録が必要です。こちらからお願いいたします。