1カ月ぶりにGreenInnovationメールでお目にかかります、日経バイオテク編集の河田孝雄です。原則として第4木曜日のGreenInnovationメールを担当しております。

 昨日(2018年9月26日)は、都内で開催された「スマート農業加速化実証プロジェクト等に関する全国ブロック説明会」に一部参加しました。日経バイオテク2018年9月24日号に掲載の2019年度予算の記事でも紹介しましたが、「スマート」が農林水産畜産業における2019年度の目玉施策です。

 今回はスマート農林水産畜産と関係が深いゲノム編集技術のアップデイトを紹介します。

 先週土曜日と日曜日に岡山大学で開かれた日本育種学会第134回講演会にて、日本が取り組むゲノム編集ツールの高効率化をいちはやく取り込んだイネの成果が発表されました。

 ゲノムの2本鎖DNAを2本とも切断する、という通常のゲノム編集とは異なり、ゲノム標的部位の塩基を置換する技術の成果です。

 東京大学が2018年8月末にScience誌にて発表したスーパーCas9と、神戸大学や米Broad Instituteから発表されたツールを用いて、ゲノム標的部位の塩基置換を、全体の6分の1にまで高めました。

 神戸大学が開発したCをTに置換するTarget-AIDを通常のCas9と組み合わせた場合では、全ての塩基置換の可能性のうち実施できる置換は48分の1でした。

 スーパーCas9により4倍、AをGに置換できるBroad InstituteのABE技術のツールの利用により、8倍に高めました。

 詳しくは次の記事をご覧ください。

(2018.9.26)
農研機構、イネの標的塩基置換に東大のスーパーCas9
C→TとA→Gの2タイプ塩基置換を育種学会で発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/18/09/26/04767/

 さらには、標的部位以外の塩基を変化させてしまうオフターゲットの比率は、東京大のスーパーCas9の利用により、大幅に低減できたとのことです。

 9月19日から、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会遺伝子組換え食品等調査会(この組織名の文字数は38です!)において、「新たな育種技術を利用して得られた食品の取扱いについて」の議論が始まりました。

 技術革新を反映して科学的検証の仕組みが頑強な仕組みにしていかないと、また将来に禍根を残してしまいます。社会的に担保する仕組みというのも大事ですが、外国から生薬や食材を多く調達している日本では、水際で検査できる科学的根拠が必須と思います。

 委員9人の座長を務める国立医薬品食品衛生研究所生化学部長の近藤一成さんは、委員を務めた消費者庁の遺伝子組換え表示制度に関する検討会が2018年春にとりまとめた報告書の内容に基づき、「不検出」を担保する新しい公定検査法の確立を進めている。当然のことながらNGSを用いた検査法などにも詳しい方です。こちらの審議内容は追って、日経バイオテクにて報じてまいります。