【GreenInnovation Vol.361】

アグリバイオ最新情報【2018年7月】のハイライト

(2018.08.09 08:00)

アグリバイオ最新情報【2018年7月】のハイライト
     ISAAA日本バイオテクノロジー情報センター(NBIC)の冨田房男代表

 国際アグリバイオ事業団(ISAAA)は、2018年6月26日にマニラのAcacia Hotelで報道関係者に向けて、2017年度(ISAAA Brief53)商業化バイオテク/ 遺伝子組換え(GM)作物の世界的状況に関する年次発表を行った。理事長のPaul Teng博士は、GM栽培地域は今後、世界的に拡大することが予想され、世界各地の新しいGM作物や形質が開発計画に入っていると付け加えた。Teng博士は規制の重要性を強調し、「科学に基づく規制は非常に重要であり、科学を使うことができなければ、立つべき根拠はない」とし、また、「何が信頼できるものであるかを示すツールとして、科学だけが私たちが今のところ持っているものである」とも述べている。Teng博士は、GM作物がもたらす世界的な影響、経済的利益、将来の見通しなどの報告を発表した。同氏は、2017年にはGM作物栽培面積が世界で189.8百万ヘクタールと過去最高を記録したことを報告した。また、開発途上国のGM作物栽培面積は、100.6百万ヘクタールで、先進工業国の89.2百万ヘクタールを超えた。

 このような世界の流れの中で我が国は未だにGM作物の栽培ができていない。我が国は世界有数のGM作物輸入国であり、農林水産省がその栽培も承認しているにもかかわらずである。GM作物の栽培ができていないことによる損失を、我が国も計算する時期に来ている。特定の作物、例えば甜菜については試算ができそうであるから来月までにやってみたいと考えている。

 米国における農業者がGM作物を選ぶことの意義を、農業者の立場からまとめた書き物も出てきている。Michelle Miller氏は、Farm Babe(農場のかわい子ちゃん)と呼ばれているアイオワ州の農業者であり、作家でもある。同氏は、農業者はGMOを栽培することを強いられているわけではない。「農業者がGM作物を栽培するのは、我々が望んでそうしているのであり、その理由は、それが我々、皆さんそして地球環境のためになるからである。その理由は、殺虫剤の使用を85%減らし、全体の農薬の使用を37%減らし、しかも収量が21%上がるからである。もし農業者が、より少ない面積で、しかもより少ない資源、農薬、燃料などの投入で収量を上げられるのなら、それに飛びつくのは当然である。農業者に良い仕事をさせて下さい」とFarm Babeは話している。彼女はまた、「GMOは植物育種の中で最も規制され、試験された製品であり、世界中のほぼ全ての主要な食品安全機関によって安全であることが証明されている」と強調。「GM作物にはリスクがあるとしているのは査読の無い報告で、査読があるものでは安全性の証拠を出している」とも述べている。

 教育程度が高いといわれている日本で、このような考え方が出てこないのが疑問である。

 ところで訃報があった。我が国にも何度か講演に来たことのあるRANDY A. HAUTEA博士が突然亡くなった。彼の国際アグリ事業団(ISAAA)での功績は偉大であり、ISAAAは、RANDY A. HAUTEA記念基金を設立した。彼は、ISAAAの任務を果たすために20年以上の人生を捧げ、世界各地に科学知識を共有し、普及させ、貧困と飢餓の軽減に貢献するとともに、途上国への技術移転を促進した。謹んでご冥福を祈ると共に彼の働きを発展させたいものである。なお、彼の役割は、Rhodora R. Aldemita博士が引き継ぐことになっている。

 そのRhodora R. Aldemita博士が来日し、8月23日(木)14:00ー16:00に The Tokyo Station Conference (Seminar venue/Anteroom: 5th floor)で講演を行う。多数のご参加をお願い申し上げる。

世界
遺伝子組換え作物の栽培面積が史上最高を記録

南北アメリカ
アイオワ州の農業者が遺伝子組換え作物の本当の姿を書き上げた

アジア・太平洋
ゴールデンライスの圃場試験についての一般公開協議を開始
北京で遺伝子組換え作物の商業栽培の重要性について専門家が議論

ヨーロッパ
ノーベル賞受賞者が「遺伝子組換え作物は飢餓に対抗するために必須」と表明

その他
「農業におけるゲノム編集─方法、応用とその規制」の論文発表
ISAAA、RANDY A. HAUTEA祈念飢饉を設立

国際アグリバイオ事業団(ISAAA)アグリバイオ最新情報【2018年7月】
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/082400010/080800025/

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