1カ月ぶりにGreenInnovationメールでお目にかかります、日経バイオテク編集の河田孝雄です。原則として第4木曜日のGreenInnovationメールを担当しております。

 このところ、東京近辺は猛暑が続いています。今週月曜日(2018年7月23日)には、埼玉県熊谷市で41.1℃と、日本の観測史上の最高を更新したようですね。

 一昨日(7月24日)には、「夏の暑さを軽減! ミスト噴霧機器の熱環境緩和効果の実験」に関する記者説明会に参加しました。開催場所は、東京大学の生産技術研究所(東京・目黒)。最寄駅(小田急線東北沢駅)から歩8分と、少し駅から離れたところにありますので、現地につくまでに暑さを堪能できました。

 東京大学生産技術研究所人間・社会系部門(都市エネルギー工学)教授の大岡龍三さんらは、2年ほど前から、「夏季の屋外におけるミスト噴霧機器の暑熱環境緩和効果に関する共同研究」をパナソニックと進めています。東海大学も共同研究に加わっていて、今週から2週間ほど、実証試験を行うとのことです。

 実証試験は、2016年夏に東京の新橋駅近く、2017年夏に神奈川県藤沢市にて行いました。共同研究の目的は、温熱環境評価手法の開発です。屋外およびミスト噴霧環境での人の温熱感が予測できる新環境指標を開発するとのことです。

 パナソニックは、これらの共同研究成果も踏まえて、屋外用ミスト式冷却機「グリーンエアコン」を2019年春に製品化すると、7月17日に発表しました。極微細ミストと送風の組み合わせにより、公園や駅施設、商業施設など屋外のオープンスペースにクールスポットを形成する装置です。このグリーンエアコンを組み込んだ暑さ対策システムの共同開発に、積水樹脂と合意したことも、同日に発表しました。

 このグリーンエアコンのひな形と思われる装置が、東京大学生産技術研究所に設置されていて、効果を体験できました。

 独自開発した2流体ノズルを採用し、平均粒径が10μmの極微細ミスト「シルキーファインミスト」が上部から下に向かって発生され、気化冷却で周囲の空気を冷やします。旋回状の気流を採用したトルネード型「エアカーテン送風」により、直径2mのドーム型空間を、機器直下に形成します。直径2m内は4℃、直径4m内は1℃ほど、気温が低下するとのことです。

 通常のエアコンの場合は、部屋など閉鎖的な場所の気温は下がりますが、全体としては、使用している電力量分だけ、熱が発生するため、ヒートアイランド現象の原因になってしまいます。

 一方、水の蒸発で温度が下がる気化熱を用いるミスト式冷却器は、送風などに必要な電力消費はあるものの、全体としては、熱を下げる効果があります。

 2年後の2020年の真夏には、東京オリンピックが開催されます。パナソニックは、このようなイベント対応に適した仮設型のミスト式冷却機の開発も検討しているようでした。

 さて、この記者説明会に続いて、同じ東京大学生産技術研究所内で午後開催された第8回食料生産技術研究会の話題もお伝えします。2年ほど前からこの活動を始めたとのことでした。

 講演題目を紹介しますと、東京大学大学院農学生命科学研究科教授の金子豊二さんが「魚の浸透圧調節研究と水産増養殖の新展開」、喜多屋代表取締役社長の木下宏太郎さんが「世界を魅了する日本の國酒・日本酒-喜多屋の取り組み」、福島大学農学系教育研究組織設置準備室副室長准教授の平修さんが「見えないものを見る食品分析」、筑波大学発のスタートアップ企業であるFullDepth代表取締役の伊藤昌平さんが「水中ドローンで拓く新たな海洋調査」、農林水産省農林水産技術会議事務局産学連携室長の野島昌浩さんが「“知”の集積と活用の場の取組について」でした。

 この中から、グリーンイノベーションと関係する話題を少し紹介します。

 最初の金子さんの講演はうかがえませんでしたが、要旨を拝見すると、栃木県那珂川町の「町おこし」プロジェクトで2011年から本格的な出荷が始まった「温泉トラフグ」の紹介もあったようです。閉鎖された温泉プールで養殖していて、年2万5000尾とのことです。

 FullDepth社長の伊藤さんの講演では、水中ドローンの話を初めて伺いました。養殖事業においても、水中ドローンが活躍していることがよく分かりました。

 農水省は、明日7月27日午後、「『知』の集積と活用の場 産学官連携協議会 平成30年度提示総会及びポスターセッション」をFORUM8(東京・渋谷)で開催します。

 食料生産技術研究会の次回(第9回)は、2018年11月26日に東京大学生産技術研究所で開催されます。最初に登壇する筑波大学つくば機能植物イノベーション研究センター教授・センター長の江面浩さんは「ゲノム変種技術を活用したトマトの高速デザイン」という演題名を予定しています。