1カ月ぶりにGreenInnovationメールでお目にかかります、日経バイオテク編集の河田孝雄です。原則として第4木曜日のGreenInnovationメールを担当しております。
 今回も、生物多様性やカルタヘナ法、外来種の話題をお届けします。

日経バイオテク2014年11月10日号「特集」
「カルタヘナ法」カタルシス
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20141111/180333/

(2016.12.22)
【GreenInnovation Vol.322】
化学発光で夜間に光る街路樹、研究段階カルタヘナ法第一種使用の学識経験者一部交代
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/mag/greenmail/16/12/21/00030/

 一昨日、「バイオイメージングの医学応用的開発研究」で2017年度の上原賞を受賞した理化学研究所の宮脇敦史さんの講演をうかがいました。

 ご出身の岐阜の小学生のときに、テレビドラマ「相棒」の初代相棒として知られる寺脇康文さんが「相棒」だったというお話から始まり、面白い講演でした。

 講演のタイトルは「バイオイメージングに関わる学際的技術開発と創薬への応用-生命現象を4次元でとらえる超ミクロ決死隊の冒険-」でしたが、質問への回答で、医学以外の分野における社会実装に向けた取り組みについても、お話がありました。

 98年に日本に戻ってまず提案したのは、地雷の検出だったとのこと。地下水の可視化にも有用で、2011年の東日本大震災後の福島の原発の水の漏えいに利用することも提案したとお話しでした。

 ウナギが、蛍光蛋白質を持っていて、ビリルビンの高感度検出に役立つことは、講演で紹介されました。

 蛍光蛋白質は食べることができ、蛋白質なので環境中で容易に分解されるため、環境中で利用する場合でも、人工合成物を用いる場合に比べれば影響は少ないことも紹介されました。

 遺伝子組換え産物(GM)は拡散させないように規制があることにも言及しました。

 生物多様性条約やカルタヘナ法についてここであえて説明はしませんが、カルタヘナ議定書の締約国は2017年8月30日時点で170カ国(+EU)で、非締約国は27。米国やカナダ、オーストラリア、アルゼンチン、チリは非締約国のようです。

 ゲノム編集などの新しい技術を社会実装するときに、このカルタヘナ法対策が大変です。魚や花の記事とりまとめを進めていますが、閉塞感を打破する方針を打ち出すべきと思います。

 昨年秋に、岩手県のリンドウが、外来遺伝子を含まないのでカルタヘナ法の規制対象外になることが決定されました。米Dupont社のSPTトウモロコシに次いで2番目の決定ですが、この仕組みを充実させていくべきと思います。

 カルタヘナの非締約国なので同じ仕組みというわけにはいきませんが、米農務省が公表している「Am I Regulated Under 7 CFR part 340?」の仕組みは興味深いです。昨年からチェックするようにしています。

 USDAは2011年からこの仕組みを運用しています。USDAは、2018年3月末には、この取り組みを反映した発表をしましたね。

https://www.aphis.usda.gov/aphis/ourfocus/biotechnology/am-i-regulated

 現時点では67件が登録されていて、日本の企業の案件は、サントリーの青いバラ(切り花)が唯一です。Suntory Global Innovation Center Limitedが2016年5月に確認手続きを終えて、2017年秋から青いバラの米国での販売を開始しました。

 化学発光で夜間に光る街路樹でクラウドファンディングで資金を集めたことでも知られるTAXA Biotechnologies Inc.は複数の届け出を出していて、最新のものは、2018年3月確認の「香る苔」です。

 生物多様性では、外来種がキーワードとなりますが、最近、とりまとめたタケノコの記事でも、外来種の不思議というのを感じましたので、紹介します。

○日経バイオテク2018年5月14日号
機能性食材研究(第53回)
タケノコ(筍)
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/082300007/051000027/

 春が旬のタケノコは、タケの地下茎(根茎)から発生した若芽(若茎)ですが、そのタケの多くは、モウソウチク(孟宗竹)で、外来種です。

 国立環境研究所生物・生態系環境研究センターが04年から運用している外来種情報のポータルサイト「侵入生物データベース」では、自然分布は「大陸中国」とし、モウソウチクの国内移入分布は「ほぼ全国、北限は函館」としており、日本への移入年は1728年または1736年と記載しています。

 在来種との競合では「大型の根茎が数m以上伸長するので、物理的な影響は大きい」としていて、備考では「かつては、食用のタケノコや竹材として利用されていた竹林が、安い外国製品の輸入により利用されなくなったため問題化した」と記載しています。

 この外来種ポータルサイトでは、モウソウチクの法的扱いとして「自然環境の保全及び緑化の推進に関する条例(愛知県)で野外放逐規制」と記載しています。愛知県では、同条例において、生態系に著しく悪影響を及ぼす恐れのある移入種の公表を行う規定を設け、みだりに野外に放つ行為を規制しています。モウソウチクは、2011年に公表された2回目の条例公表種に掲載されました。

 一方、環境省が2015年3月に公表した「我が国の生態系等に被害を及ぼす恐れのある外来種リスト」では、国外由来の外来種の「適切な管理が必要な産業上重要な外来種(産業管理外来種)」の14種のうちの10番目に「モウソウチクなどのタケ類」を挙げています。

 備考には「広島県では、タケ類のうちマダケとハチクが特に二次林等に侵入、拡大し、環境を改変することで問題になっている」と記載しています。

 マダケは、本州、四国、九州、沖縄で栽培されています。「中国原産説もあったが日本原産らしい」と、環境省の外来種リストには記載されています。

 ハチクは、北海道中部以南から沖縄で栽培されている。「中国原産説と日本原産説がある」と、環境省の外来種リストには記載されています。

 化学発光で夜間に光る街路樹について、先日、カルタヘナ法に詳しい研究者の方に聞きましたら、生物多様性への影響が大きい、とお話しでした。

 街灯を設置することの生物多様性への影響というのは、どの程度、評価されているのでしょうかね。山林などの未開地を切り開いて、人間が住み着くことなどの影響は甚大ですよね。